これほどの成功と活躍の要因は「心技体」の充実にあるだろう。ここではその「心」に迫り、スポーツ心理学の専門家に話を聞く。強者のメンタルは常に前向きでチャレンジ精神に満ちている。 解説=佐藤雅幸(スポーツ心理学) 写真=ゲッティイメージズ 「たられば」ばかりを口にしても意味がない
はじめに言っておきたいのは、私は大谷選手と面識はありません。会ったことも話したこともないのですが、彼の常識を外れた活躍に驚かされると同時に魅了されている一人です。今回はスポーツ心理学を研究する者として、私なりの推測を交えながら、大谷選手を通じて強者のメンタルを探っていきたいと思います。
大谷選手のことを「メンタルは強い選手だと思いますか?」と聞けば、多くの人は「イエス」と答えるでしょう。そうでなければあれほどの成功と活躍はありえず、メンタルが弱くては不可能と思うからです。しかし当の本人は「自分でメンタルが強いとは思っていない」という発言をしています。この言葉は非常に興味深く、さすが大谷選手だなと思いました。
メンタルの強い選手は、メンタルが強い、弱いなど考えず、そこに重点も置きません。大事な場面でミスをしたり、力を発揮できないと「自分はメンタルが弱い」と嘆く人がいますが、それはただの言い訳です。ミスの原因の多くはメンタルではなく、実は技術、体力面が関係していることがほとんどです。そこに目をつむり、メンタルのせいにしては何の進歩もありません。強者はそれを分かっています。ミスの原因をメンタルではなく、自分の技術、体力面などから突き詰めて考えるから次に生かせるのです。
不幸なことに、最大の理解者とも言うべき通訳が違法賭博で離れてしまいました。それでも何事もなかったように活躍を続ける大谷選手ですが、ショックを受けていないわけがありません。おそらく・・・
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