オレがやる──。覚悟を胸に来季に挑む選手は数えきれない。飛躍を期す選手としての思いは勝利を手にするため。中でもチームを背負う立場にいる選手の思いは、V奪還への原動力となる“団結力”に欠かせぬものだ。来季、5シーズンぶりに選手会長に就く、背番号2の思いが、それを物語る。 取材・文=米虫紀子(スポーツライター) 写真=梅原沙織 何を選択すべきか
「1点勝負に負けた。そういうところだと思います」
2024年の苦戦の要因を尋ねると、若月健矢はそう答えた。
昨年までパ・リーグ3連覇していたチームは、今年63勝77敗3引き分けの5位に終わった。
エースだった
山本由伸(ドジャース)や先発ローテーションの一角だった
山崎福也(
日本ハム)が移籍で抜けたことに加え、今年は新エースの
宮城大弥が故障で一時離脱し、昨年ブレークした
山下舜平大や
東晃平が不調やケガで勝ち星を伸ばせなかった。リリーフ陣も、昨年までブルペンを支えた
宇田川優希、
山崎颯一郎、
小木田敦也らが故障などで一軍にいない状況が続いた。
そんな中、ルーキーの
古田島成龍や
高島泰都、移籍加入した
吉田輝星、
井口和朋、
鈴木博志といった新戦力が奮闘。先発では入団2年目の
曽谷龍平が頭角を表した。新たな顔ぶれながら防御率2.82と踏ん張った。
それに対し、打線の援護があまりに乏しかったことが敗因に挙げられる。だが、捕手目線で省みる若月はこう語る。
「究極は、点を取られなければ負けないので。トータルで見れば防御率は良かったかもしれないですけど、結局、1点勝負で点を取られているから負けている。例えば、2018年も防御率はリーグ1位だったけど、チームは4位だった。正直、防御率はあまり関係ないと思うんです。勝率を競うスポーツなんで。取られちゃいけないところで取られているから、この順位になったと思う。そこで粘り強く戦えていたのが、昨年までのチームだったと思います」
1点差の試合だけを見ると、今季は17勝27敗、昨季は28勝13敗と大きな違いが出ている。
粘り強く戦い、勝敗を分ける1点を守り切るために、来季に向けてこう語る。
「大事な、競った場面で“0”で(ベンチに)帰ってこられるように、配球面はもちろん、やっぱりコミュニケーションを日ごろからしっかり取っていかないと、そういうところで力を発揮できない。そういう試合を全部取っていれば、まあ、優勝していたかどうかは分からないですけど、もっと借金は少なかったはず。失点を100減らすと言っているわけではないので、できなくはないと思うんです。勝負どころの失点を少なくできるようなことをバッテリーでやっていけたらと思います」
一方で・・・
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