勝負の1年を前に、大きな目標を掲げた。
種市篤暉は昨季自身初の2ケタ勝利となる10勝を挙げ、リーグ2位の157奪三振をマーク。トミー・ジョン手術から完全復活を遂げた1年から今シーズンはもっと上へ。昨年の契約更改の場では、「タイトルを獲りたい。どれも欲しい」と明るい表情で宣言した。
2月2日に初めてブルペンに入ると、同4日には35球。視察に訪れていた日本代表の
井端弘和監督の前で力の入った投球を披露した。キャンプでは投球の幅を広げるため、昨季あまり投げてこなかったカーブにも挑戦。直球、フォーク、スライダーが軸だった投球スタイルにアクセントとなる変化球の出来は上々だ。「状態もいいので、早く打者の反応が見たい」と仕上がりに納得する。
昨季シーズン中にも、ツーシームを習得。上手くなりたいという向上心は幼少期から持っていたものと言い、「負けず嫌い。誰かには負けたくない気持ちがある」。
そんな25歳にとって、最終盤に離脱もあった昨シーズンは物足りなかった。
「10勝できたのはよかったと思うが、そのほかの数字に関してはまったく満足できるものではなかった」
筋肉量が保てなかった反省を生かし、オフは全身の筋力アップに注力。1年間戦える準備を進めてきた。
「170〜180イニングくらいを目標。多く投げていきたい」
規定投球回を超えることは本人の中では当然。吉井監督が開幕投手候補の一人に挙げる右腕は、中5日での登板も視野に入れる。目指すのはエース、そして日本一の投手だ。
写真=高塩隆