あの放物線を見れば「2年目のジンクス」という言葉も思わず、あとずさりしたことだろう。3月20日の
楽天とのオープン戦(バンテリン)。互いに無得点の4回一死で打席に入ったのは細川成也。
1ストライクから
岸孝之の内角直球を振り抜くと、高らかに舞い上がった白球は5階席に突き刺さった。
「良い感触でした」。同16日の
阪神戦でも同じ場所へ放り込んだ。ちょうど1年前、
大谷翔平(ドジャース)が侍ジャパンでバンテリンに訪れた際、打撃練習で5階席に入れて大きな話題を呼んだ。そこへ5日間で2発ぶち込んだ細川のパワーは昨季よりも増していると言っていい。
昨季初の現役ドラフトを経てドラゴンズ入り。開幕一軍をつかむと、バットでアピールを重ねてレギュラー獲得。眠っていた長打力が開眼して24本塁打をマークした。チームの日本人選手での20本塁打達成は
和田一浩、
森野将彦(いずれも2010年)以来の快挙だった。
オフには昨年に引き続き、楽天の
浅村栄斗の自主トレに参加。それだけに「自主トレでお世話になっている浅村さんの前で打てたのはよかった」。さらなる飛躍のために「しっかりとバットのヘッドをきかせること」とアドバイスをもらった。まさにそれを実践した一振りだった。
背番号も「0」から長距離砲らしい「55」に変更され、「番号に恥じない活躍をしたい。
松井秀喜さんら強打者のイメージがある。自分もたくさん打って、背番号と名前をもっと覚えてもらえる選手になりたい」と意気込む。
開幕から18打席連続ノーヒットが続いたが、4月2日の
巨人戦(バンテリン)で今季初安打が劇的なサヨナラ本塁打となった。翌日の同カードでも一発と2試合連続本塁打、4月6日の
広島戦(マツダ広島)で第3号。本塁打王のタイトルも決して夢ではない。
写真=BBM