酸いも甘いも知るベテランが、チームにとって大きな戦力だ。日米通算21年目の青木宣親は、昨季まで交流戦歴代3位の通算323安打をマーク。歴代1位の
鳥谷敬(
阪神、
ロッテ)の通算333安打まで残り10本としている。6年間メジャー・リーグに挑戦していたことを考えれば、そのすごさがわかる。
リーグ5位に終わった昨季は、交流戦に突入しても大型連敗が止まらず、最終的に「12」まで伸びた。長年チームリーダーとして引っ張ってきた青木の胸にも悔しさがあった。2023年6月1日の
日本ハム戦(エスコンF)前。ナインで円陣を組んだ際、「心のスクラムを組もう」と呼びかけると、見事に同戦で連敗をストップ。「物理的なものじゃなくて、心の問題じゃないかと思う」と『無形の力』でチームを一つにした。
言動だけでなく、高い技術を持つ42歳は結果でも示す。これまで変化を恐れず、進化することに挑戦してきた。オフシーズンはアメリカで動作解析を実施。打撃フォームを見つめ直し「下半身から上半身への連動」を意識してスイングを重ねてきた。
「『あ、やっぱり』という感じだった。データと自分が思っていたことが合っていた。去年も悪くはなかったんだけど、行き切ってなかった。自分のものにしている感じはなかった」
昨年、プロ2年目からメジャー時代も含めて19年連続本塁打を記録したのが、6月3日の
楽天戦(神宮)だった。数々の猛者たちと対戦し、攻略してきた『燕の交流戦男』が、今年も盛り上げる。
写真=BBM