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広島・末包昇大 「戒め」を経て…ひと振りで勝利をもたらす主砲/わがチームのムードメーカー

 

現在は四番に座ることも増えてきた末包。豪快なスイングが魅力だ


 この男が合流して、間違いなくチームの雰囲気が変わった。末包昇大は、5月8日の阪神戦(甲子園)から今季初の一軍昇格。それまでチームは借金1だったが、リーグ戦が一区切りの交流戦前まで10勝4敗。成績不振だった二軍生活中に「戒め」と自らバリカンを入れたイガグリ頭が、勝利の使者となった。

 5月27日には誕生日を迎えた。28歳初打席となった翌日の本拠地・オリックス戦では、初回に決勝の2点適時打で昨年7月27日以来の首位浮上に貢献。一軍昇格後、チーム最多の5本塁打を放った。活躍するたび、新井貴浩監督は「彼、今日も『打ちます』と言っていましたから」と、愛のある言葉を向けた。昨季は「彼は『つかんだ』と言っていました」というイジリが定番だった。

 登場曲にも、末包の人柄が表れている。『はぐれ刑事純情派』『太陽にほえろ!』のテーマ曲を使用するが、もちろん昭和、平成の人気刑事ドラマを見たことはない。仕掛け人は會澤翼だ。「お前にはカッコ良過ぎる」と、強制変更となった。「『俺がやっとく』と言われて、ああなりました。その効果もあって……」と、苦笑いしながら感謝した。

 今季は、1月下旬に左膝の内側半月板を損傷した。出遅れはしたが、昨年は交流戦終盤の6月13日に一軍初昇格し、そこから11本塁打を放った。「よく言えば昨季より1カ月、早く一軍に上がれた」と前を向く。

「言っても、もう28歳。結果を出さないと、終わりも近づくと思う。しっかりと結果を意識して頑張りたい」

 笑顔はじける長距離砲が、さらにチームを上に上に押し上げていく。

写真=BBM
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