現状、一軍唯一の中継ぎ左腕として5年目の27歳が背負う期待は大きい
貴重な左のリリーバーの地位を確立させようとしている。5年目左腕、
坂本裕哉が今季、ブルペン陣の一角として存在感を高めている。
開幕は二軍で迎えたが、5月8日に今季初昇格を果たすと、同日の
ヤクルト戦(横浜)の6回一死満塁のピンチでいきなり登板。すべて直球勝負で左の代打・
青木宣親を投ゴロ併殺に仕留め、無失点で切り抜ける好リリーフを見せた。同25日の
広島戦(横浜)では2回を無失点に抑えプロ初ホールドを挙げるなど、その後も力強さを増した直球を武器に離脱者が続出した救援陣の中で光を放っている。
1年目で初登板先発勝利を挙げたが、故障もあり定着できず。ブルペンに回っても要所で粘れず、能力はありながらも安定した結果を残せずにいた左腕。これまで「何事にも力を入れ過ぎてしまっていた気がする。頑張るだけではダメ」と真面目過ぎるきらいのあったスタイルから変貌を遂げたことが飛躍の一因となった。
今季の成長に
三浦大輔監督も「腕の振りが強くなった。ゾーン内で勝負できる良さがある。去年までは抑えないと、打たれないように、という感じだったけど、これで抑えてやるんだ、とマウンドでボールを渡すときも、行かせてくださいという表情でもらいにくる。そういう気持ちの面でもだいぶ強くなった」と目を細める。
近年、チームは右対右、左対左という固定観念にとらわれず、データや持ち球などを考慮した適材適所の投手起用を行ってきた。ゆえに左のリリーフを過剰に意識することはなかったが、相手チーム、打者によっては左投手が刺さるケースもある。昨季までブルペンを支えたE.エスコバーが退団、
石川達也も二軍再調整となる中で、進化した坂本は替えのきかない貴重な存在だ。
写真=BBM