
キャリアハイ更新と充実のシーズンも慢心はない
自身の今季最終戦を勝利で飾ることはできなかった。10月5日の
日本ハム戦(
楽天モバイル)。先発した
藤井聖は7回を投げ8安打2失点(自責1)。2対2の同点で降板し、自己最多を更新する12勝目を挙げることはできなかった。
それでも、今季はキャリアハイの活躍を見せた。22試合登板で11勝5敗。防御率2.93。早川とともに、球団の左腕としては初めて2ケタ勝利をマーク。10試合登板で3勝だった3年目の昨季から大きな飛躍を遂げた。最終戦の投球を見届けた
今江敏晃前監督は「本当に期待以上の活躍をしてくれた。今日も粘り強く彼らしいピッチングをしてくれた」と絶賛した。
躍進の理由は、指揮官の語る通り粘り強い投球にあった。シーズンを通して、微妙に変化する直球と複数の種類のスライダーを軸に、丁寧に低めを突いた。社会人経験もある左腕は、たとえ走者を背負っても動じず。打者に狙い球を絞らせず、凡打の山を築いた。
年間を通じてスライダーが軸となる球だったが、シーズン終盤には
シュートの練習を積み重ねた。シュートの精度を上げたことで、豊富な球種がさらに生きた。横の変化に、カーブやチェンジアップで緩急もつけて9月12日の
西武戦(ベルーナドーム)から3連勝。CS進出争いが激しさを増した勝負の秋にチームに白星を届けた。
「まだまだというところもありますけど、昨季よりもう一段階二段階レベルアップできたのかなというのはあります」と静かに振り返った4年目のシーズン。自己最高の結果にも慢心することなく、さらなる飛躍を目指す。
写真=BBM