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第49回社会人野球日本選手権大会

「守りからリズム」が原点 社会人日本一を目指すHonda熊本の新たな挑戦

 

前年準優勝・Honda熊本は東芝との1回戦で敗退。全国で勝つ厳しさをあらためて感じた[写真=松村真行]


 Honda熊本は応援ステージに熊本県PRマスコットキャラクター・くまモンが上がった試合の勝率が高く、特にそのイニングに劣勢の展開をひっくり返すことが多いと言われる。今夏は都市対抗出場を逃したため、社会人日本選手権1回戦(対東芝)が2024年のくまモン初登場となったが、神通力も及ばなかった。

 社会人屈指の強打を誇るHonda熊本打線は初回、プレーボール直後の初球を宮川海斗(上武大)がはじき返しセンターオーバーの三塁打を放つ。

 この一打をきっかけに先制したが試合の主導権を握るには至らず。8回二死まで、次の安打が出なかった。社会人の年間表彰で2年連続最多勝利投手賞を受賞のエース右腕・片山雄貴(駒大)は走者を出しながらも粘りのピッチングで耐えていたが、東芝のうまさにやられた。

 1点リードの5回二死一、三塁から重盗を決められて同点とされ、6回一死二、三塁からショート強襲の勝ち越し適時打を浴びた。8回にも1点を失い、9回に無死一、三塁から併殺打の間に1点を返したが、反撃もここまで。昨年の準優勝チームが初戦で姿を消した。

 試合後の渡辺正健監督(明大)は「1点先制した形は良かったんですけど、その後、なかなかランナーを出せなかったのが相手のペースになっていったというところだと思いますね。同点にされたダブルスチールと内野ゴロの間に1点というところ、あの辺がまだ記録はヒットだったんですけど、ディフェンスの部分をもう1回やらないとダメだなと感じましたね」と悔しさをにじませた。

一発勝負の難しさ


 反省点に挙げたのは、4安打に終わった打線よりもむしろ守備の部分である。

「強打は周りが言うだけでウチは守りのチーム」というのが常々口にする一貫した考え。片山も「渡辺監督は日ごろから選手にも『しっかり守りからリズムを』というのは言っているので、それは選手も意思統一して試合に臨んでいますし、守備をしっかりしてバッティングにつながるというのは自分も感じています」と同意した。

 指揮官、エースも攻守両面でのレベルアップを誓った。

「まだまだ、やはり、関東の強豪を倒すには、僕らもしっかりした野球をやっていかないと勝てないなと感じましたね。都市対抗予選では打線が打てなかったので、もう1回、しっかりバットを振れるようにしていこうということで、夏場にしっかり振らせて予選では良い結果が出たんですけど、ここに来ると、良いピッチャーが投げてきますし、ウチも研究されている中で結果を出していかないといけないと思いますので、まだまだしっかりチーム力を上げていかないといけないなと感じました」(渡辺監督)

「社会人野球は一発勝負なので、昨年準優勝したからとかではなく、どこが勝ってもおかしくないし、悔しいですけど、そう簡単にいかないのが社会人野球だなとあらためて感じました。どのチームもウチをマークしてやってくると思っていたので、九州のレベルも上がってきていると感じていて、自分たちも停滞していたらいつか超される日が来るだろうし、自分たちは日々成長していくだけだなというのは感じています」(片山)

 来年は東京ドームでも京セラドームでも、結果を求めていく。(取材・文=小中翔太)
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