平成には数々の名ショートがいた。現在も現役で活躍している巨人・坂本勇人のほか、元広島の野村謙二郎、西武、楽天、メジャーで活躍した松井稼頭央、元ソフトバンクの川崎宗則など球界を代表する選手たちが思い浮かぶ。遊撃は守備範囲が広く、一塁への距離も内野で最も遠いことからフットワーク、グラブさばき、肩の強さなど多くの要素が求められる。守備の負担が大きいポジションで、「平成の守備No.1ショート」はどの選手だろうか。 すべてが堅実な「生きる教科書」
・宮本慎也(ヤクルト)
NPB通算2162試合出場、打率.282、62本塁打、578打点、111盗塁
週刊ベースボールが実施した「球界200人が選んだ! 内野守備ランキング」で遊撃手1位に選出された守備の名手。身のこなし、足の運び、球際の強さ、正確な送球とすべてが堅実で「生きる教科書」だった。遊撃手で6度のゴールデン・グラブ賞を獲得。三塁にコンバートされた後も、11年に292回の守備機会で失策をわずか1つと守備率.997で三塁手の守備率のプロ野球新記録を更新するなど、ゴールデン・グラブ賞を4度獲得。打撃でも通算2000安打と400犠打を球界史上初めて達成した努力の人だ。
宮本とハイレベルな争い
・石井琢朗(横浜、広島)
投手 NPB通算28試合登板、1勝4敗、防御率5.69
野手 NPB通算2413試合出場、打率.282、102本塁打、670打点、358盗塁
高卒1年目に初先発初勝利と華々しいデビューを飾るが、投手としての限界を感じ、プロ4年目から内野手に転向した。遊撃手で1765試合出場はNPB史上最多記録。俊足を生かした華麗なフットワークから、投手出身の強肩で送球も安定感抜群だった。三塁でゴールデン・グラブ賞を3度、遊撃で1度獲得。同世代のヤクルト・宮本と遊撃のゴールデン・グラブ賞をめぐり、ハイレベルな争いを繰り広げた。打撃でも、俊足巧打のリードオフマンとして最多安打を2度、盗塁王を4度獲得。通算2432安打をマークした。
華麗さと泥臭さを兼ね備えた守備
・小坂誠(ロッテ、巨人、楽天)
NPB通算1371試合出場、打率.251、19本塁打、303打点、279盗塁
身長167センチと小柄だが、打球に対する反応速度が他の選手より速く、ムダのない動きで簡単にアウトを取る。ゴールデン・グラブ賞を4度獲得。華麗さと泥臭さを兼ね備えた守備で、「平成の牛若丸」、「小坂ゾーン」と称された。同じ時代にプレーした遊撃手の松井稼頭央、川崎宗則は華やかだったが、小坂も2人とは違う味わいがあった。選手間では「守備で日本一の遊撃手は小坂」と評価が高い。俊足を生かし、97年に新人最多記録の56盗塁、翌98年にプロ野球史上初の「40盗塁・40犠打」を達成するなどその活躍は鮮烈だった。
中日黄金時代を牽引
・井端弘和(中日、巨人)
NPB通算1896試合出場、打率.281、56本塁打、510打点、149盗塁
中日の黄金時代を牽引した遊撃手でゴールデン・グラブ賞を7度獲得。ポジショニングが良く、堅実な守備で投手陣の信頼が厚かった。特に、二塁・
荒木雅博とのコンビ通称「アライバ」は球界No.1と呼ばれる二遊間で、驚異的な守備力を誇った。2002〜13年と12年間コンビを組み、二遊間のアウト数で、05年にNPB1位の1590(刺殺614、補殺976)、09年にNPB3位の1503(刺殺576、補殺927)をマーク。攻撃面でも荒木との一、二番で好機を演出。柔らかいリストワークを生かしたバットコントロールでチャンスにも強かった。
写真=BBM