個性派に豪快な正統派?
“ムーア型”のヒゲをつけた赤星[左]とともにお立ち台に上がったムーア
沖縄だけは5月の初頭には突入してしまったが、いよいよ本格的な梅雨シーズン。ジメジメとした梅雨といえば、ヒゲの季節である(?)。プロ野球選手でヒゲといえば助っ人たち、という感覚も時代遅れになりつつある感もあるが、特に20世紀は、日本人の選手に比べて“ヒゲ率”が高かったのは間違いない。これも、どちらかといえば近年は日本人選手の“ヒゲ率”も上がってきたからだが、無精ヒゲに見えるくらいがファッショナブルといった近年のヒゲ選手では太刀打ちできないほどの豪快なヒゲ選手たちがいた。
母数では打者には届かないだろうが、個性の強さで負けていないのが投手。21世紀に入ってから、(探せばいるのかもしれないが)唯一無二のヒゲで人気を集めたのが
阪神の
トレイ・ムーアだ。阪神では2002年から2年、
オリックスではブルーウェーブのラストイヤーとなった04年の1年をプレーして26勝を挙げた左腕だが、口の周りに定規を使って書いたようにシュッと整えられたヒゲで、阪神のチームメートだった
赤星憲広は“ムーア型”のつけヒゲで一緒にお立ち台に上がったことも。阪神の“助っ投”では20世紀に
マット・キーオ、21世紀に
ランディ・メッセンジャーやリリーバーの
マルコス・マテオや
ラファエル・ドリスらもいるが、マテオらは髪型のインパクトも強い。
派手なオーバーアクションでも球場を沸かせたアニマル
豪快な正統派(?)のヒゲでは2010年代
ソフトバンクの絶対的クローザーだった
デニス・サファテのヒゲも印象的だったが、同じパ・リーグのリリーバーで、20世紀の阪急(現在のオリックス)にいた
アニマル・レスリーのほうがヒゲでは軍配が上がるだろう。サファテは17年の54セーブでプロ野球の頂点に立ち、ソフトバンクの前には
広島と
西武でも活躍しており通算234セーブを残しているが、通算24セーブのアニマルはプレースタイル(?)も豪快なヒゲとマッチ。頬の部分だけを剃ってしまった時期もあったが、長髪とつながったようなヒゲ面で試合を決めればマウンドで雄叫びを上げて、その勢いのまま捕手をボコボコに。このパフォーマンスも、あのヒゲがなかったら盛り上がりに欠けていたかもしれない。
文=犬企画マンホール 写真=BBM