広島の“助っ投”通算の投手3冠
2016年からの広島3連覇に大きく貢献したジョンソン
広島が四半世紀ぶりにリーグ優勝を果たした2016年。このとき15勝7敗と貯金を積み上げ、防御率2.15の安定感もあって歓喜に大きく貢献、“助っ投”ではプロ野球2人目の沢村賞に輝いたのが、左腕の
クリス・ジョンソンだった。
前年の15年に来日すると、初登板から被安打1、無四球完封という離れ業を見せたジョンソン。
緒方孝市監督が就任して、メジャーでプレーしていた
黒田博樹が復帰したシーズンでもあったが、長い低迷にあった広島は最終的には4位にとどまったものの、ジョンソンは28試合、194回1/3に投げて14勝7敗、防御率1.85で最優秀防御率のタイトルを獲得している。11勝を挙げた黒田の存在も大きかったが、ジョンソンにとっては左腕エースとしての地位を確立したシーズンだったといえそうだ。
迎えた16年は開幕投手。最終的には26試合、180回1/3に投げている。それまで外国人の投手で沢村賞に選ばれたのは1964年、
阪神の
ジーン・バッキーのみ。ジョンソンはプロ野球では2人目、21世紀に入ってからは初めて、左腕でも初めて、外国人の投手で沢村賞を贈られた投手となっている。このときの15勝は自己最多の勝ち星でもあった。
翌17年は13試合の登板で6勝に終わったが、広島はリーグ連覇。その翌18年にはジョンソンも復活して、24試合、144回2/3に投げて11勝、リーグ3連覇に貢献している。以降2年連続11勝。だが、20年は開幕7連敗と急失速、そのまま勝ち星なく、そのオフに退団している。
とはいえ、ジョンソンが広島に残したものは大きい。通算57勝、624奪三振は広島の“助っ投”では2位の
ブライアン・バリントンを引き離してトップ。また、通算防御率の“規定投球回”は一般的には2000イニングだが、これを500イニング以上に投げた外国人の投手で通算防御率を見ていくと、防御率2.76のジョンソンは広島ではトップで、広島の“投手3冠”となる。すべての“助っ投”では歴代7位。ジョンソンの前にいる6人は、すべて20世紀の投手たちであり、21世紀の投手に限ればジョンソンが1位になる。広島の歴史で“助っ投”エースなのは間違いなさそうだ。
写真=BBM