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【大学野球】本物の文武両道を実践してきた東大主将 強調してきた「全員で踏ん張る力」

 

8回から一塁の守備に


東大の主将・梅林[左端]は法大2回戦で勝利し、ホッとした表情を見せた[写真=矢野寿明]


[東京六大学リーグ戦]
10月8日(神宮)
東大4-2法大(1勝1敗)

 ついに、出番がやってきた。

 東大の主将・梅林浩大(4年・静岡高)が法大2回戦(10月8日)の8回表から一塁の守備に入った。今季初出場。4対2とリードした大詰めで、切り札を投入したのである。

 東大は残り2イニングを守り切り、昨秋の慶大1回戦以来の白星を挙げた。試合後、起用の意図を、東大・大久保裕助監督は明かした。

「試合終盤の守備固めです。なかなかこういう流れになりませんでしたからねえ(笑)。リードした展開での守りは梅林。背も高い(180センチ)ですし、野手も投げやすいですから」

 今春は開幕から一塁で先発出場していたが、打撃不振により、シーズン中盤からベンチを温める機会が多くなった。代わりに出場した大井温登(4年・小松高)が勝負強い打撃で定位置を奪取。今秋は不動の四番として打線をけん引しており、梅林は控えに回った。

「自分がベンチでできることは、選手を鼓舞して、少しでも勢いづける情報を出していく。試合前から意識していることです」

 もちろん、いつでも大久保助監督から声がかかっても良いように、試合中も体を動かしてきた。梅林は静岡高3年春のセンバツ甲子園に出場し、1年の浪人の末に東大に入学。本物の文武両道を実践してきた努力家である。

 主将・梅林としての神宮初勝利を問われると、正直な思いを口にした。目の肥えた神宮のファンも、背番号10が歩んできた足跡をよく知っている。

「勝利の瞬間は気持ちが入っていたので……。(8回表に)出た瞬間は観客の声援が温かく、涙が出そうになりました……」

チームリーダーが追い求める形を体現


東大の主将・梅林[中央]は決勝打の内田[左]と、2失点完投でリーグ戦初勝利を挙げた松岡[右]を称えた[写真=矢野寿明]


 右腕・松岡由機(4年・駒場東邦高)が2失点完投でリーグ戦初勝利を挙げ、5回裏に勝ち越し打を放った内田開智(3年・開成高)についてはこう言及した。

「松岡は気持ちで投げている。内田も気持ちで打っている。自分で練習している姿を見てきたので、活躍して、感謝しています」

 梅林は主将就任以来「全員で踏ん張る力」を強調してきた。春の開幕前に語っていた。

「自分たちに足りないのは組織としての強さ、成熟性。東大野球部には成長力がある。一人ひとりが課題と向き合い、克服するのは得意。受験勉強も一人で行ってきた。自分と向き合い、成果を収めるのはプロフェッショナル。自分自身のために100パーセント頑張る力を、外に向けてみよう、と。先陣を斬って、ワンアクションを起こしていきたいと思います」

 法大2回戦での勝利は、まさしくチームリーダーが追い求める形を体現した。東大は勝ち点2で、単独での最下位脱出がテーマ。梅林はベンチワークにおいて先頭に立ち、試合終盤の勝負どころに備え、準備を進めていく。

文=岡本朋祐
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