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首都大学リポート

帝京大が明治学院大を下し1部昇格決める 頼れる主将の梧桐大真がチームをけん引【首都大学リポート】

 

夏場の強化が決実


帝京大の主将としてチームをけん引した梧桐大真


【11月13日】入れ替え戦
帝京大4-3明治学院大
(2勝1敗)

 首都大学リーグ入れ替え戦3回戦。初戦は1部6位の明治学院大、第2戦は2部優勝の帝京大が勝利し、1勝1敗のタイで迎えた大一番。帝京大が4対3のサヨナラ勝ちで明治学院大を下し、3季ぶりの一部昇格を決めた。

 帝京大の主将としてチームをけん引してきたのが梧桐大真(4年・京都翔英高)だ。昨秋にリーグ戦デビューを果たすと、今季から主将に就任。「もともとは副主将を勧められたのですが、その時に自分から『キャプテンをやらせてください』と言いました」。

 梧桐について、唐澤良一監督は「彼なくして、このチームは成り立たなかった。犠牲心を持っていて、立派なキャプテンでした」と、その功績をたたえた。

 梧桐自身は今春、全9試合に出場して打率.276とコンスタントに安打を放ったが、チームは終盤に連敗して5位。屈辱を味わった。

 そこで、この夏はかつてないほどの厳しい練習に取り組んだという。「野手はたくさんバットを振りましたし、投手陣はとにかく走り込みました。なかには脱落しそうな選手もいましたが、励ましの言葉をかけて、この秋に向けて思いを一つにしてきました」。

 また、これまで少なかったという選手ミーティングの時間も増やした。「事あるごとに話し合いの場を設けて意見交換をし、下級生の言葉にも耳を傾けました。そうすることで練習メニューや戦略の部分でより良い野球ができるようになったと感じています」。

 唐澤監督も「2部に落ちてからは、選手の意識を変えるために考えさせる時間をつくったり、話し合いをすることで私生活から見直してきたのですが、この夏くらいからようやく形になってきました」と手応えを感じてシーズンに入った。

 すると、この秋は「試合を重ねるごとに一体感が増していきました」と投打がかみ合い、投手陣はチーム防御率1.48と2部リーグで1位に。打線もリーグトップの6本塁打をマークした。「そこまで打てるチームではなかったのですが、夏の練習を経て打てるようになりました」と、苦しい展開の試合も終盤の長打で逆転する場面が目立ち、9戦全勝で見事に2部優勝を飾った。

昇格決め、涙の胴上げ


 入れ替え戦の相手は昨春の入れ替え戦でも対戦した明治学院大。2部に降格した時の対戦相手である。「直接、リベンジできる機会はなかなかないと思うので、入れ替え戦は2部で9戦全勝できたご褒美だと思って、思い切り楽しもうと思っていました」。

 どちらも譲らず、1勝1敗のタイで迎えた3回戦。一時、相手にリードを許すも6回裏、無死一、二塁の場面で打席に立った梧桐は三塁前へきっちりと転がし、続く作本怜央(4年・鳥羽高)がセンターへ犠牲フライを打ち上げ同点に。

 9回裏には二番・島野圭太(3年・履正社高)のレフトへの二塁打を足掛かりに一死一、二塁のチャンスをつくると、五番・今崎圭秦(3年・智弁学園高)がレフトの頭を越える適時打を放ち、サヨナラの走者・島野が二塁から一気に生還を果たした。

 その瞬間、ベンチからメンバーが飛び出し、スタンドからは紙テープが投げ込まれた。「レフトがバックして背中が遠くなっていき、ボールが地面に落ちた瞬間はもう泣いていました。唐澤監督を胴上げした時はみんな泣いていたのですが、やっぱり困難を乗り越えたからこそ今があるのだと思います」。

 激闘を制し、来春から一部に復帰する帝京大。梧桐主将は卒業と同時に野球を引退し、一般企業に勤めることとなる。「負けて終わりたくなかったので、勝てて良かった。後輩に良い置き土産ができて安心しました」と、最後に安堵の表情を見せた。

文&写真=大平明
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