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前田智徳2世? 他球団の間で「間違いなく活躍する」と話題の若武者は

 

自主トレで大きな手応え


オープン戦で本塁打を量産している田村


 オープン戦で、「間違いなくシーズンで活躍する」と他球団の中で話題なっている選手がいる。プロ3年目の広島田村俊介だ。

 一軍デビューを飾った昨季は10試合出場で打率.364をマーク。9月17日の中日戦(バンテリン)で死球により負傷交代し、左小指中手骨骨折で戦線離脱したが、強いインパクトを残した。オフは、同じ左打者で実績を積み重ねてきた松山竜平と2年連続で自主トレに参加。田村は週刊ベースボールの取材で大きな手応えを口にしていた。

「一軍初出場、初ヒットなど今季はいろいろと初めての経験ができたんですけど、今年一番だったのは1月の自主トレでのこと。松山(松山竜平)さんに連れて行ってもらって、今までにない感覚が多くあったんですよ。それはすごく印象に残っている“初めて”です。例えば、今まで僕はバットを強く速く振るために体を振らないといけないと思っていたんですけど、逆に、体を止めることによってバットが走るというのを教えてもらいました。最初は『どうやって体を止めらたらいいんだろう』ってなるくらい、自分にはない感覚で。でも、練習を重ねてちょっとずつ分かってくると、速い真っすぐに対しても振り遅れることが少なくなりましたね。

変革の時を迎える外野陣


 広島の外野陣は変革の時を迎えている。中心選手の西川龍馬がFAでオリックスに移籍。昨年65試合出場で11本塁打をマークした末包昇大が、春季キャンプ直前の1月末に左膝を負傷して戦列を離れたことで、外野の3つのポジションを巡る競争がさらに熾烈になっている。その中で、田村は定位置奪取に向けて強烈にアピールしている。途中出場した3月20日の西武戦(ベルーナ)では衝撃の一打を放った。1点差を追いかける7回無死一塁で、ボー・タカハシが投じた内角高めの直球を振り抜くと、打球は右翼ポール際に飛び込む逆転2ラン。マウンド上のボーが驚きの表情を浮かべていた。

「見逃せばボール球。バッテリーからすれば、あそこは打っても一塁側のファウルゾーンに切れる打球です。あの球を右翼スタンドに運べる打者はなかなかいない。パワーだけでなく、技術も高い。あんな一発を打たれたら配球の幅が狭まります。末恐ろしい20歳ですよ。打席での雰囲気を含めて前田智徳さんに似ていますよね」(他球団のスコアラー)

球界を代表する天才打者


アキレス腱断裂の大ケガを乗り越え2000安打を達成した前田


 前田は球界を代表する天才打者として、プロ24年間広島一筋でプレーした。高卒2年目の1992年に外野のレギュラーをつかみ、95年に右アキレス腱断裂も大ケガを負ったが、その後も卓越した打撃技術で活躍し続けた。その後もケガとの闘いが続き、2001年は27試合出場でノーアーチに終わったが、02年は123試合出場で打率.308、20本塁打、59打点でカムバック賞を受賞。05年は12年ぶりの全146試合先発出場で、打率.319、32本塁打、87打点、自己最多の172安打を記録した。晩年は代打の切り札を務め、通算2119安打を積み重ねた。

 現役時代は口数が少なく、職人気質のストイックな性格で知られていた。田村は甘いマスクが印象的だが、泰然自若の姿勢は前田と重なる。外野の定位置争いやライバルの存在について、こう語っている。

「同じポジション、似たようなプレースタイルや選手タイプでも、僕、ライバルだって感じないんですよ。『その人はその人』『僕は僕』というふうに見ているので。昔からですね。ライバル心を抱かれるということはありましたけど、僕から誰かを特別に意識したりということはなかったです。ほかの選手が活躍しているのを見て思うのは、もっともっと自分を上げていけるなということ。例えば、同級生がホームランを打ってたりしたら、僕も打てるやろ、と。先を見ているんですよね。来季、龍馬(西川龍馬)さんが抜けて外野のポジションが空きますが、そこに関しても、自分が結果を出して、評価をしてもらうだけですね」

 高橋慶彦江藤智緒方孝市、前田、鈴木誠也(カブス)、坂倉将吾……。広島は高卒のスター選手がチームを支えてきた歴史がある。ネクストブレーク候補と目される田村は活躍できるか。野球人生を変える大事なシーズンが始まる。

写真=BBM
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