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【大学野球】脈々と受け継がれる魂 神宮に東大の湘南高OBが集結

 

レジェンドに囲まれ緊張気味


東大野球部の湘南高校関係者が写真に納まった。左から西山先輩理事、杉浦捕手、大久保監督、OBの宮台氏[写真=矢野寿明]


【5月12日】東京六大学リーグ戦(神宮)
法大7-4東大(法大2勝)

 神奈川県立湘南高等学校硬式野球部は1949年夏の甲子園で初出場初優勝。春のセンバツには2回出場(51、54年)している伝統校だ。県内トップの進学校で毎年、多くの東大合格者を出している。

 法大2回戦の打撃練習前。三塁ベンチには、湘南高OBが集結した。

 東京六大学野球連盟のリーグ運営に携わる西山明彦先輩理事は、右投手として通算8勝を挙げた。2019年11月から助監督、昨年11月に就任した大久保裕監督は、同一シーズンで史上初めて早大、慶大から勝ち点を挙げ優勝争いを展開した1981年春の「赤門旋風」を起こした当時の主将(遊撃手)を務めた。東大史上6人目のプロ野球選手となったサウスポー・宮台康平氏(元日本ハムヤクルト)の活躍は記憶に新しいところ。学生ラストシーズン2017年秋には法大から連勝で勝ち点を挙げ、通算6勝をマークしている。

 宮台氏はNPBで5年プレーし、22年限りで現役を引退。学生時代から将来的な方向性として示していた弁護士を目指すため、法律事務所に勤務しながら、勉強をスタート。昨年、東大の法科大学院に合格し、4月に入学して、来年夏には司法試験が控えているという。23年2月には学生野球資格を回復。現役大学生を指導する機会があり「学生の聞く耳が違うんですよ(苦笑)。説得力がある」と西山先輩理事は明かした上で、今後の期待感を語る。

「これまでは公認会計士や医師はいますが、プロ野球選手出身初の弁護士として、さまざまな分野で活躍してほしいと願っています」

 宮台氏はこの日、リーグ戦の解説のため神宮球場を訪れ、関係各所へ挨拶回りをしていた。

湘南高出身で東大の3年生捕手・杉浦がリーグ戦初本塁打を放った[写真=矢野寿明]


 湘南高OBのレジェンドに囲まれ、緊張気味だったのは3年生捕手・杉浦海大だ。守備力が買われ、3カード目の早大1回戦から先発に定着。法大2回戦でリーグ戦初安打を放つと、3対3の7回表に一時勝ち越しとなるソロアーチをバックスクリーンへ放った。初本塁打も実らず、惜しくも逆転負けを喫し、東大は連敗で勝ち点を落とした。試合後は「宮台さんのおかげです」と、先輩に感謝した。

 このほか選手登録では4年生内野手・谷村雄太がいる。さらには堂埜智咲紀が2年生マネジャーで、1浪で入学し、湘南高では杉浦と同期だった。また、高校時代は主将を務めた横田麟が今春、1年の浪人を経て入学して、東大野球部ではマネジャーとなった。

 2021年に創立100周年を迎えた湘南高の魂は先輩から後輩へと、脈々と受け継がれている。

文=岡本朋祐
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