徹底したトレーニング

東大の3年生捕手・杉浦がリーグ戦初本塁打。ホームランボールを手に笑顔を見せた[写真=矢野寿明]
【5月12日】東京六大学リーグ戦(神宮)
法大7-4東大(法大2勝)
マスクをかぶっている以上、逃げ場はない。3カード目の早大1回戦から、正捕手として先発起用されている杉浦海大(3年・湘南高)は、グラウンドの司令塔として自覚を語る。
「3年生の立場ですが、どっしりとして、落ち着きがないといけない。(4年生がおり)下級生ですが『自分がキャプテンなんだ!!』。そういう思いでプレーしています」
湘南高から東大に現役合格。大学入学以降のビジョンは明確だった。「1年生のときは『3年でレギュラーを獲る!!』と描いていました」。1年春のフレッシュトーナメント(2年生以下でチーム編成)では、初戦の慶大戦で本塁打。2年秋まで4シーズン、同トーナメントにおける正捕手を担った。2年春にリーグ戦デビューし、今春からメンバーに定着した。開幕から正捕手だった府川涼太郎(4年・西
大和学園高)が右肩痛により、守備力のある杉浦にチャンスがめぐってきたのである。ここでも、覚悟が相当違った。
「レギュラーを獲るだけでは、東大は勝てない。ベストナインを受賞するぐらいの活躍しなければいけない」
東京六大学リーグで他の五大学に対抗するには、フィジカル強化が必要だと感じた。ウエートトレーニング、アジリティトレーニングを重ねた。練習熱心であり、探求心もある。
「部内でトレーニングを投稿するアプリがあるんですが、そこで報告をしています。自分が取り組んでいることを周りに見せることで、(チーム全体を)引き締める意図があります」
徹底したトレーニングが打撃に加え、捕手技術の向上にもつながった。
「地肩が強いほうではないので、足の運びが大事。いろいろな体勢からのスローイング練習をしています。トレーニングによる下半身強化がスローイングの成果に出たと思います」
最終カードへ強い決意

プロ注目左腕の法大の151キロ左腕・吉鶴からの一発だった[写真=矢野寿明]
先発4試合目となった法大2回戦で、通算11打席目でリーグ戦初安打となる左前打を放つと、同点の7回表には一時勝ち越しとなるバックスクリーンへのソロアーチ。打席には捕手目線で入り、配球を想定するという。狙いどおりの一発だった。
「打ったボールは、カットボールです。変化球で入ってくるかな、と。前の打者、その前の打者を見て、球種を読んで打ちました。ようやく自分のスイングができてうれしい。(ベース一周は)まず1勝、そして勝ち点につながる本塁打になってくれればと。自分としてはピッチャーと組んでいる。リードを奪った状態で投げさせたい思いがありました」
東大は杉浦のリーグ戦初本塁打で1点のリードを奪ったのも束の間、7回裏に逆転され、8回表も2失点。東大は法大に連敗し、開幕から4カードで勝ち星なしの8連敗となった。第7週(5月25日から)の立大戦を残すのみである。
杉浦はチームの代表として、決意を込めた。
「立教大学さんは投手、打撃とも良い。法政戦と同じ熱量でしっかり対策して、ゲームに入ってからは闘志を出して、東大らしい野球をしたい」
ここでも、強い覚悟を語った。
文=岡本朋祐