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【大学野球】指揮官から全幅の信頼を得る左腕 法大・安達壮汰「自信を持つための練習をしてきた自負がある」

 

「いつも落ち着いていて、頼もしい」


法大のリリーバー・安達は8回から2イニングを無失点。181センチの長身から、角度のあるボールを投げ込む[写真=矢野寿明]


【5月12日】東京六大学リーグ戦(神宮)
法大7-4東大(法大2勝)

 法大が東大に連勝し、今季2つ目の勝ち点を挙げ、V戦線に踏みとどまった。法大は中盤までは優位に立っていたが、6回表に追いつかれると、7回表には勝ち越しソロ本塁打を浴びた(3対4)。

 この日はプロ併用日のため、延長がなく、9イニング勝負。残す攻撃は3回だったが、法大打線に焦りはなかった。7回裏、先頭の1年生・中村騎士(東邦高)が、遊撃内野安打で出塁。この日のリーグ戦初出場が初先発起用で、3打席目にして神宮初安打を放った。

「試合前に先輩から思い切りやるように言われていました。緊張感はありましたが、自分の力を出し切ろうと思っていました。神宮球場は明治神宮大会でも経験していますが、大学野球は応援、ゲームの流れも違う。高校時代とは異なる雰囲気で、楽しかったです」

 1年生の出塁を足がかりに、内野安打に敵失が絡み追いつき、なおも、犠飛で勝ち越した。

法大・中村は東大2回戦でのリーグ戦デビューが「七番・二塁」での初先発起用。7回裏に逆転の口火となる左前打[リーグ戦初安打]を放った[写真=矢野寿明]


 8回表からは先発の左腕・吉鶴翔瑛(4年・木更津総合高)から4年生左腕・安達壮汰(桐光学園高)へつなぐ最上級生リレー。法大は8回表に2点を追加。安達は冷静な投球で、2イニングをきっちりと締めている。

「いつも落ち着いていて、頼もしい。危なげない投球をしてくれる。助かります」

 大島公一監督にはエース右腕・篠木健太郎(4年・木更津総合高)と左腕・吉鶴の両輪に次ぐ、全幅の信頼感がある。開幕から8試合中7試合ですべて救援登板。12回1/3で失点2、自責点2、防御率1.46の安定感。まだ、勝ち星こそついていないが、毎試合、ブルペンでスタンバイし、欠かせない存在である。

 中学時代は侍ジャパンU-15代表でプレー。桐光学園高でも1年春から出場し、2年春からエースで主砲。同春、2年秋の関東大会に出場も、3年間で甲子園の土は踏めなかった。
法大では投手に専念も、3年秋までリーグ戦登板なし。だが、下を向かなかった。

「3年間、苦しい思いをしてきましたが、自分の代で、という思いで冬から過ごし、今年にかける思いは人一倍強かったです。自信を持ってマウンドに上がることができている。過程が大事で、そこには背景がある。自信を持つための練習をしてきた自負があります」

東大に連勝した試合後、1年生・中村[左]と4年生左腕・安達[右]はポーズを取った[写真=BBM]


 技術的には最速147キロのストレートに加え、スライダーの精度を高めてきた。「曲がりも変わった」。12回1/3で11奪三振と、ここ一番で勝負できるボールになった。

 法大は5勝3敗、勝ち点2。次週の第6週(5月17日から)では勝ち点3で首位の早大と対戦する。同カードでの勝ち点奪取が2020年春以来のV奪還へ、一つのヤマ場となる。そして、優勝の可能性を残し、第7週の明大戦へつなげていきたいところである。

「一戦一戦、目の前の試合を戦う。自分のテンポで、チームに流れを引き寄せる投球をしたいです」

 今後も厳しいマウンドが続くが、気持ちは充実する一方だ。ユニフォームを着られなかった時間が長かったからこそ、安達には、折れない心がある。2カードも、チームの勝利のために身を粉にして投げる。

文=岡本朋祐
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