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【大学野球】“宗山の代役”で遊撃スタメンの明大・光弘帆高 チャンスを生かすために必死にプレー

 

アグレッシブなプレーを連発


明大の遊撃手・光弘は軽快なプレーを連発している[写真=矢野寿明]


【5月12日】東京六大学リーグ戦(神宮)
明大6-2立大(1勝1敗)

 並々ならぬ闘志に加えて、緊張感がひしひしと伝わってきた。

 立大1回戦(5月11日)の朝。一塁ベンチから光弘帆高(2年・履正社高)が颯爽と飛び出していった。試合前の打撃練習が始まっても、不動の「三番・遊撃」で主将・宗山塁(4年・広陵高)の姿が見られない。メンバー交換で宗山の「欠場」が明らかとなり、光弘の名前が「八番・遊撃」に書かれていた。

 光弘は履正社高3年時に侍ジャパンU-18代表でプレーし、U-18W杯(アメリカ開催)で銅メダルを獲得した。プロ志向が強かったが、2年秋の公式戦終了時点で当時、履正社高を率いていた岡田龍生監督(現東洋大姫路高監督)と進路について面談。高卒でプロに挑戦するのは難しいと考え、進学に方針転換。4年後のプロ入りを見据え、明大に入学した。

 入学から昨年1年間、宗山の背中を見て、育ってきた。野球だけでなく、寮生活を含めて、すべてがお手本だった。ところが、主将・宗山は2月末のオープン戦で死球を受け、右肩甲骨骨折。全治3カ月の診断で今春のリーグ戦出場は難しいとされた。そこで、バックアップメンバーに白羽の矢が立った。開幕までのオープン戦では光弘、津田基(2年・近江高)らで激しい競争がチーム内競争が展開された。

 宗山は驚異的な回復により、絶望視されていた、開幕カードの第2週、東大1回戦に間に合わせてきた。ところが、第3週の早大戦を含め2カード5試合で打率.174。第5週の立大戦へ向けて調整を進めてきたが「上半身のコンディション不良」(明大・田中武宏監督)により、宗山は先発オーダーから外れた。

 立大1回戦で宗山は出場機会なくベンチを温め、光弘は1試合フルでグラウンドに立ち続けた。3打数1安打。守備機会も軽快にこなした。しかし、チームは1対4で落とした。昨春以来のV奪回へは負けられない2回戦。明大は一致団結で戦い、6対2で雪辱した。

立大2回戦の8回表には左二塁打。左打席からの鋭いスイングも持ち味である[写真=矢野寿明]


 前日の1回戦に続き、2回戦も「八番・遊撃」で先発した光弘は、1試合フル出場。8回表の第4打席では、左二塁打を放った。遊撃守備では球際の強さ、アグレッシブなプレーを連発。攻守にわたってチームの勝利に貢献した。背番号26の必死さが伝わってきた。

 宗山の代役――。相当なプレッシャーがあるはずだが、背伸びをする必要はない。明大の活動拠点「内海・島岡ボールパーク」で取り組んできた練習の成果を発揮するだけだ。2024年春、大黒柱の離脱という最大のアクシデントの中で、光弘はチャンスを生かそうと懸命にプレーしている。4年生・宗山は今年で卒業。言うまでもなく、来年以降を見据えても、これ以上ない経験を積んでいる。

文=岡本朋祐
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