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首都大学リポート

勝負強い打撃でチームの2位に貢献した東海大・田所徹 「初球から振る」「楽しんでプレーする」が調子維持の理由【首都大学リポート】

 

コーチングスタッフ一新が転機


東海大・田所は勝負強い打撃でチームの2位に貢献した


【5月26日】首都大学一部リーグ戦
東海大2-0桜美林大(東海大2勝1敗)

 首都大学リーグ第8週1日目。今季のリーグ最終戦となる東海大と桜美林大の3回戦は、初回に先制した東海大が中盤に追加点を挙げてそのまま押し切り2対0で桜美林大に快勝。勝ち点を3に積み上げ、リーグ2位でシーズンを終えた。

 今季の東海大で好調な打撃を見せていたのが田所徹(4年・松商学園高)だ。松商学園高時代は甲子園に縁がなかったが「大学では全国大会に出られる強いところで野球がやりたいと思っていました」と東海大に進学。1年秋にはリーグ戦デビューを果たした。

 3年生となった昨年は守備固めや代走などで出番は増えたが、なかなかレギュラーポジションはつかめず。「守備や走塁は得意だったのですが、あとはバッティングという感じでした」と3年間でリーグ通算1安打だった。

 転機となったのは、長谷川国利監督が就任し、コーチングスタッフが一新されたことだ。「バッティングを指導していただく機会が増え、体がスウェーして前に突っ込んでしまう悪いクセを指摘してもらいました」。フォームを修正するために、カベを作って打つことを意識。

「最初からカベを作ることで体が前へ行かずに止まれるようにバスターから打つ練習をやってきました」。また、この冬はチームとしてスイング量を増やしてきたが「連続ティーを中心にかなり振り込んできました。多い日は1日500スイングしていたのですが、そのおかげで自信が付きました」。

 今春の開幕戦は「二番・三塁」で先発出場。シーズン序盤は苦しんだが、第2週の日体大2回戦で今季初安打を放ったのをきっかけに、その試合から9試合中8試合で安打を記録。第4週の帝京大2回戦では3安打2打点の活躍だった。

 1シーズンにわたって調子を維持できた理由については「初球から振っていくこと」と「楽しんでプレーすること」の2点を挙げた。

「初球から振っていくと打率が良くなるというデータがあったのも確かなんですが、スイングすることでタイミングや自分のその日の調子がはかれますから自分もずっと大切にしていたことでした」

 この一面については、長谷川監督も「田所は積極的にバットを振っていけるのが長所。思い切りが良い」と認めるところだ。「メンタル面も大事にしているのですが、今年は4年生のシーズンなので野球を楽しんで、最後までやりきりたいと思っています」と話している。

「3割を打つことができて、うれしい」


 勝ったほうが2位となる一戦となった桜美林大3回戦。「一番・三塁」で出場すると、1回裏の第1打席に初球のストレートを弾き返して左前打。「大学4年間で一番に起用されるのは初めてだったのですが、初球からタイミングを合わせて振っていきました」。その後、盗塁を決めると、二番・大塚瑠晏(3年・東海大相模高)の二塁打に相手守備のミスが重なり先制のホームを踏んだ。

「昨年は代走で出場することが多く、試合に出ていきなり走るというシチュエーションもあったので、その経験が生きました」。

 試合は先発・米田天翼(2年・市和歌山高)が桜美林大を7安打に抑えて完封。また、外野手からの好返球で二塁走者を本塁で2度もアウトにするなど、バックも再三の好守を見せ、米田をしっかりとバックアップし、白星をつかみとった。

 田所は1安打に終わったが、今季は打率.324(34打数11安打)をマーク。「3割を打つことができて、本当にうれしいです」と充実のシーズンを振り返った。

「東海大に入学した時から『4年生になったら絶対にレギュラーになるんだ!』と強く思ってきました」と入学時に立てた誓いを見事に成就させた。卒業後は一般企業に就職する予定だというが、最後となる秋季リーグ戦に向けて「チームの優勝に貢献して、そこに自分の結果も付いてきてくれれば。そして、最後のシーズンも『心から楽しんでプレーすること』をモットーにして、やり切りたい」と、ラストシーズンに完全燃焼するつもりだ。

文&写真=大平明
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