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【大学野球】「微差は大差」 4位でシーズンを終えた法大 意識レベルの差が終盤の詰めの甘さに

 

好ゲームを繰り広げても伴わない結果


法大は6勝7敗、勝ち点2の4位でシーズンを終えた。左は吉安主将、右は大島監督[写真=菅原淳]


【5月27日】東京六大学(神宮)
明大4-2法大(明大2勝1敗)

 ゲーム終盤の詰め甘さ。今シーズンを象徴とするゲームだった。今季3つ目の勝ち点をかけた明大3回戦。法大が勝てば、明大の優勝を阻止できる一戦も、逆転負けを喫した。

 法大は2回表、4回表と2本のソロ本塁打でリードしたが、4回裏に追いつかれ、8回裏に決勝2ランを浴びた。今季7敗のうち1点差負けが4試合、2点差負けが3試合。勝ち点をかけた慶大3回戦は1対1の12回裏にサヨナラ本塁打を浴び、早大1回戦は7回まで2対0とリードしながら8回裏に3失点で逆転負け。好ゲームを繰り広げても、結果が伴わない。とにかく、接戦に弱いのである。神宮球場のネット裏で観戦するある野球部OBからは「いつも同じ展開で負ける印象がある。何かを変えないと、また、同じ失敗を繰り返すことになる」と、警鐘を鳴らした。

 正捕手で主将・吉安遼哉(4年・大阪桐蔭高)は明大3回戦後、敗因について語った。

「お互い総力戦で競ったんですけど、勝ち切れない。小さな差ですけど、大きな差なのかな、と……。捕手ですので、このボールを要求しておけば……というのはありますが、それを言い出しても、キリがない。すべての結果を受け止めていかないといけないです」

 そして、核心を突いた。

「神宮と練習が同じ気持ちでないとダメ」

 法大は毎年、スポーツ推薦で高校時代に実績のある選手が入学する。ポテンシャルがあっても、リーグ戦で力を発揮できないのは「練習の質」と認めた。ただ「大きな差」とは、野球だけではないことを理解する必要がある。

 各大学はグラウンドだけでなく、寮生活、学校生活の安定が野球につながると信じ、大学生としての基本的な取り組みと日々、向き合う。常日頃から積み重ねてきた意識レベルの差が、ゲーム終盤の勝負強さに出る。そこが、法大に足りない要素。今春から母校を率いる法大・大島公一監督も「微差は大差」と語った上で、今後のチーム運営について言及した。

「目の前のことを真剣に、本気で、丁寧にやる。言葉にするのは簡単ですが、チーム全体で受け止め、一人ひとりが自覚を持って必死に取り組む。私が誘導できればと思います」

 野球部員である前に、大学生として、何が求められているのか。1925年秋創設で、歴史と伝統がある東京六大学リーグで戦う以上、無様な姿を見せることは許されない。抜本的な改革に着手しなければ、他の5大学との「差」は広がる一方である。相当な危機感を胸に、活動していく段階にきている。

文=岡本朋祐
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