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首都大学リポート

武蔵大との入れ替え戦で決勝打の城西大・小林結太 復調のきっかけとなったフォーム修正【首都大学リポート】

 

捕手に未練があって……


城西大・小林は大事な入れ替え戦の初戦で勝ち越し打を放った


【6月1日】首都大学一部二部入れ替え戦
城西大6−5武蔵大
(城西大1勝、延長10回タイブレーク)

 首都大学リーグ・入れ替え戦1回戦。今春の一部リーグで6位だった城西大と、最終戦の劇的なサヨナラ勝ちで14季ぶり11度目の二部優勝を果たした武蔵大が激突。両チームは昨春の入れ替え戦でも対戦しており、その時は当時二部に所属していた城西大が2勝1敗で武蔵大を下して一部昇格。今季は立場を入れ替えてのリターンマッチとなった。

 どちらも負けられない大事な一戦。3点を追う武蔵大が7回裏に佐藤史弥(3年・花巻東高)の適時三塁打などで逆転すると、9回表は城西大が岡澤敦也(4年・関東一高)の2ランで再逆転。それでも9回裏に武蔵大が丸山亮太(3年・東福岡高)のタイムリー二塁打で追いつくという、タイブレークまでもつれにもつれた。

 試合を決める決勝のタイムリーを放ったのは城西大の小林結太(3年・関西高)だった。小林は1年春に二部リーグでデビュー。一部に昇格した昨秋は捕手のレギュラーポジションをつかみ、リーグ6位の打率.326をマーク。「野球を始めたのは小学校2年生からなんですが、その前からバットは振っていて、長打を意識してスイング練習をしてきました」と本人が振り返るように、セールスポイントでもある長打力を発揮。本塁打をはじめ、二塁打も5本放って、ベストナインを獲得した。

「『チームのために』と思ってプレーしていたら、たまたま取れてしまったという感覚でした」。3年生となった今春はさらなる活躍が期待されていたが快音は響かず。今季は指名打者として出場するも、第5週からは先発からも外れてしまった。

「今季はバッティングに専念することになったのですが、正直、キャッチャーをすることの未練もあって気持ちがうまく乗っていきませんでしたし、欲が出てしまったところもあると思います」

 復調のきっかけとなったのは、指導に訪れる元ヤクルト秦真司臨時コーチとともにフォームを修正したことだった。「右肩が入っているので逆方向へ強い打球を打つように指導していただいて、ようやく調子も上がってきました」。すると、第7週の帝京大1回戦で先発に復帰すると2安打。翌日の2回戦でもヒットを放ってみせた。

「とにかくチャンスで一本」


 武蔵大との入れ替え戦1回戦では再びベンチスタートとなったが「競った展開だったので『絶対に出番が来る』と思って集中していました」と小林。8回表二死二塁の場面で代打に起用されたが、ここは「力が入っていまいました」と凡退。だが、延長タイブレークの10回表。二死一、三塁のチャンスで打席が回ってくると「ストレートと落ちる球とスライダーが頭にあったのですが、どの球種が来ても対応して前に飛ばそうと思っていました」とスライダーを振り抜いた打球は二塁手の左を抜けていく適時打となって勝ち越し。

「スタメンを外れてすごく悔しかったですし、今季のリーグ戦ではチームに迷惑をかけてきたので『とにかくチャンスで一本』と考えていました」という思いが一塁ベースへ向かう間のガッツポーズにも表れていた。

 指揮を執る村上文敏監督も「小林はもともと打力がある選手。打席に向かう前に『サインはないよ』と声を掛けていたのですが、しつこくセンターへ打ってくれました」と貴重な一打をたたえた。その後は必死の継投で1点を守り切り、城西大が6対5で武蔵大を振り切って先勝した。

 小林は自身の経験も踏まえつつ「自分たちも昨春に二部から昇格しましたが武蔵大も二部優勝の勢いがあると思うので、その勢いをしっかりと止めていきたい」と話し、さらに「まだ初戦を取っただけなので、気を抜かずに次の試合でもバットでチームに貢献したいです」と続け、次戦へと気持ちを切り替えていた。

文&写真=大平明
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