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【大学野球】早大がリーグ最多47度目Vを遂げた理由 主将・印出太一×副将・吉納翼「優勝特別対談」

 

「まだ、三段階あります」


早大をけん引した主将・印出[左]と副将・吉納[右]。悔しさをバネに、4年生の思いが結実した[写真=矢野寿明]


【6月2日】東京六大学(神宮)
早大12-2慶大(早大2勝)

 早大が2020年秋以来、リーグ最多47度目の東京六大学リーグ戦制覇を遂げた。昨年11月の新チーム結成以来、早稲田をけん引したのは主将・印出太一(4年・中京大中京高)と副将・吉納翼(4年・東邦高)である。

 印出は「四番・捕手」でけん引し、打率.375、リーグ最多17打点(2本塁打)で2回目のベストナイン受賞。「五番・右翼」の吉納は早慶戦を迎えるまで打率.229、1本塁打、6打点と苦しんだ。しかし、慶大1回戦で2本塁打4打点の活躍で先勝し、王手。2回戦における連勝での優勝につなげる勢いをつけた。

 閉会式後、メンバーはバスで西早稲田の早大総合学術情報センターへ移動した。初代部長・安部磯雄先生、初代監督・飛田穂洲先生の胸像前で優勝報告。旧安部球場があった、早大にとって原点の場所で、あらためて歴史と伝統に触れた。セレモニーを終えた直後、印出主将と吉納副将による「優勝スペシャル対談」を行った。

――7季ぶりの優勝おめでとうございます。まず副将・吉納選手から、主将・印出選手に労いの言葉をお願いいたします。

吉納 昨秋、悔しい思いをしたときから新チームが始まって、冬の練習、沖縄キャンプ、オープン戦といろいろある中で、また、キャッチャーというポジションで大変だったと思いますけど、結果も残して尊敬しています。自分もこれから結果を残すので、隊長はこのままでいいので、秋まで4冠したいです。

印出 自分がキャッチャーというポジション柄もあって、ピッチャーとコミュニケーションを取らないといけなかったり、野手の練習にいないケースもありました。その中で吉納が先陣を切ってチームを引っ張ってくれ、翼に任せておけば大丈夫という、絶対的な信頼感がありました。逆に、自分は投手との対応、一選手としてのプレーに集中できたので、感謝しかないです。新チーム発足から天皇杯奪還を目標にやってきて、練習メニューであったり、相談したこともありましたし、一緒に苦労してきました。リーグ戦に出始めたのも同じ時期(2年春)。悔しい思いを同じだけしてきているので、翼と一緒に天皇杯を手にできたことは達成感があり、同じ愛知県出身でライバル校から同じチームになって、こういう功績を残せたのはすごくうれしいです。

吉納 自分たちの年間目標は大学タイトル4冠(春、秋リーグ優勝、全日本大学選手権、明治神宮大会)なのでまだ、一段階をクリアしたに過ぎません。まだ、三段階あります。

「ここからが勝負だと引き締めて」


――慶大1回戦。吉納選手が放った2本塁打(4打点)をどのように見ていますか。

印出 早慶戦前、早稲田スポーツの取材でキーマンを聞かれた際に、吉納の名前を真っ先に挙げたんです。「絶対に打ちますから!!」と。本当に大事な場面で復活してくれると思っていたので、翼のホームランで流れがきて、翼のホームランで試合が決まったという感じで……。大事な1回戦で、手ごわい相手を圧倒できたのは、投手を引っ張っていく上でも楽でしたので、本当に助かりました。

吉納 優勝がかかった早慶戦に持ち込めたのも、チームメートの頑張りのおかげです。自分も最後に貢献できたので、良かったです。

――印出選手はリーグ最多17打点です。

吉納 チームとして戦っているので、自分を含め、細かい数字までは気にしていませんでしたが、得点をしている中で、そのシーンを思い返すと四番・印出でした。逆に言うと(三番の)自分がかえしていなかったので、大学選手権では自分が引っ張って、印出が楽に打席に立てる状況にしていきたいです。

――最もつらかった時期は?

印出 冬の練習はきつかったです。3月の沖縄キャンプ終わるぐらいまでエンジンを上げてやっていましたし、体もしんどかったです。昨秋の負けから、春に向かっていくのは簡単ではありませんでした(昨秋は勝ち点を取ったほうが優勝の早慶戦。早大は1回戦で先勝も2、3回戦で連敗)。強いメンタルと体が必要で、吉納を含めて4年生が周りを見て動いていたので、大変だったと思います。

吉納 印出は中学時代から知っているんですが中学、高校、大学とすべてキャプテン。そんな簡単にこなせるものではないと思うんですけど、淡々とチームを回しているのは尊敬します。そういったキャプテンの姿勢が、結果に結びついたことは間違いありません。

閉会式後、早大総合学術情報センターへ真っ先に向かい、初代部長・安部磯雄先生、初代監督・飛田穂洲先生の胸像前での優勝報告。天皇杯を手にした主将・印出を中心に、リーグ優勝を実感した[写真=矢野寿明]


――6月10日には全日本大学選手権が開幕します。あらためて「大学日本一」への意気込みをお願いします。

印出 自分はとにかく黙って練習して、結果は神宮で見せて、早稲田の信頼を取り戻すんだというところからスタートしているので、一つ形として春にリーグ優勝ができたので、ようやく日本一を目指していい、資格のあるチームになってきたなと感じるので、日本一という目標を新たに掲げてやっていきたい。

――信頼は取り戻せましたか?

印出 一つは、ですね。勝ち点5の完全優勝なので、勝ち方としては完璧な形だと思うので、全日本でもみっともない姿を見せないように、一戦一戦、戦っていきたいと思います。

吉納 大学野球の最高峰である東京六大学リーグで優勝して、天皇杯を奪還したんですけど、本当の強いチームという意味では、ここから勝ち続けないと意味がないと思います。ここで(大学選手権)仮に負けたとしたら、世間から「浮かれている」と思われても仕方ない。ここからが勝負だと引き締めて「強い早稲田」を見せつけていきたいと思います。

文=岡本朋祐
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