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今季5試合出場のみも…他球団から高評価の「走攻守3拍子そろった」DeNAの逸材は

 

ファームに打者の逸材が多いDeNA


きっかけをつかめば一気に能力が開花しそうな知野


 DeNAが6月16日の西武戦(ベルーナ)で5対0と快勝し、交流戦を7連勝で締めくくった。4月13日以来、約2カ月ぶりの貯金1に。最大借金6からはい上がり、首位・広島に3ゲーム差と優勝争いに絡んできた。

 220得点はリーグ2位。打線の破壊力はリーグ屈指だろう。タイラー・オースティン牧秀悟筒香嘉智佐野恵太と強打者が並ぶ布陣は迫力十分。山本祐大も打率.318とポイントゲッターとしての活躍が光る。さらに、ドラフト1位・度会隆輝が球団新人記録を更新する6試合連続適時打を放つなど、6月11日に一軍再昇格後は6試合で26打数10安打の打率.385、9打点とバットが振れている。

 他球団のスコアラーは「DeNAは山本、度会、蝦名達夫森敬斗井上絢登梶原昂希とイキのいい若手が多い。ファームにも好素材がいます。松尾汐恩石上泰輝知野直人……。知野は足が速く、パンチ力がある。内野ならどこでも守れるし、身体能力は目を見張るものがある。きっかけをつかめば、細川成也(中日)のようにブレークする可能性が十分にあります」と高く評価する。

今季は一軍無安打も二軍で好調


 知野はBCL・新潟から2019年にドラフト6位で入団。プロ3年目の21年に一軍デビューを飾ると、5月26日のオリックス戦(横浜)で、漆原大晟(現阪神)からプロ初アーチを放った。36試合で打率.176にとどまったが、得点圏打率.429と勝負強さを発揮。定位置獲りを目指せる立場となったが、悔しい思いを味わう。

 翌22年の3月25日の広島戦(横浜)。「六番・一塁」で自身初の開幕スタメンを勝ち取ったが、0対0の2回に先頭・松山竜平のゴロを後逸。二塁へ進塁を許したのをきっかけに3点を先制される。4回は末包昇大のファウルフライを捕球できず。7点差を追いかける7回に一塁にヘッドスライディングし、三塁内野安打をもぎとったが、試合は3対11で大敗。度重なる守備のミスで責任を背負い込んだ知野は試合後、ベンチで涙を流していた。同年は16試合出場で打率.154、0本塁打、0打点と不完全燃焼に終わった。

 昨年は39試合出場で打率.167、2本塁打、12打点。だが、この数字以上にチームへの貢献度は高かった。主に代走、守備固めでの起用が多く、スタメン出場は9試合にとどまったが出塁率.342をマーク。追い込まれてもボール球をきっちり見極める姿が印象的だった。9月3日の巨人戦(横浜)では、2回無死満塁の好機に代打で登場すると、左腕・井上温大の内角に入った直球を左翼席へ運んだ。試合は敗れたが、ド派手な一発はインパクト十分だった。

 今季は開幕をファームで迎え、5月21日に一軍昇格。5試合出場で6打数無安打と快音が聞かれず、わずか5日後にファームに戻ったが、イースタン・リーグでは54試合出場で、打率.278、2本塁打、25打点をマーク。7盗塁で出塁率.389と好調をキープしている。

お手本にすべき先輩打者


抜群の打撃センスを誇る宮崎。昨年は自身2度目の首位打者に輝いた


 知野の良きお手本になるのが、同じドラフト6位で入団した宮崎敏郎だ。今年で36歳を迎えるベテランだが、昨年に打率.326で自身2度目の首位打者に輝くなど打撃技術は色褪せない。今季も打率.280、5本塁打、20打点をマーク。左太もも裏の軽い肉離れで6月7日に登録抹消されたが、万全のコンディションで復帰すれば打線の核になる。

 宮崎は広角に安打を打ち分ける高い打撃技術だけでなく、選球眼の良さに定評がある。ボール球になる変化球を平然と見逃すが、昨年6月に週刊ベースボールのインタビューでその点について聞かれると、以下のように語っている。

「昔からではないと思いますね。今は、4打席ある中でのプランを立てて打席に立つことができています。その心の余裕ではないですけど、心持ちがボールになる球を振らなくさせているのだと思います。でも、若いときは『二軍に落ちたらどうしよう、どうしよう』っていう気持ちで打席に立っていたんですよ。打席数が少ないので、その1打席で『決めないと、決めないと』と考えてしまって、結果的にボール球にも手を出していましたから」

 これは宮崎だけでなく、一流打者が一軍定着に向けて乗り越えてきた壁といえる。知野に再び一軍から声が掛かる機会は必ず来るだろう。そのチャンスを生かせるか。大輪の花を咲かせるため、ファームで牙を研ぐ。

写真=BBM
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