4日間の代表選考合宿
昨年10月に侍ジャパン社会人代表の監督に就任した川口朋保氏。24人のメンバー選考に目を光らせた[写真=矢野寿明]
【侍ジャパンU-23代表候補合宿】
侍ジャパンU-23代表は「第5回WBSC U-23ワールドカップ」(中国、9月6〜15日)に出場する。メンバー24人を決める代表選考合宿が6月29日から7月2日まで、39人が参加して行われた。
侍ジャパン社会人代表を指揮するのは川口朋保氏(三菱自動車)である。昨年10月20日に就任し、12月に行われた第30回BFAアジア選手権(台湾)で2大会ぶり20度目の優勝へと導いた。今年3月のJABA東京スポニチ大会を皮切りに、全国各地の公式戦を視察。自分の目で確かめ、代表候補選手をピックアップしてきた。
4日間の最終選考において、3つの選考基準があった。まずは、投手である。
「ストライクゾーンで勝負できる。力強いボール。特長のあるボールを投げる。(フォームとして)球の出どころが見づらい」
最も強調しているのは、冒頭のストライクゾーンで勝負することだ。その理由を明かす。
「国際試合に限らず、日本の野球でもできないといけない。四球は失点につながるケースが多い。球数を少なく、ゾーンで勝負する」
打者に要求するのは対応力である。
「膝元のボールを見極めながら、浮いてきたボールを仕留める。1スイングでとらえる能力。1対0で勝つイメージではなく、打って勝ちたい」
最後に、代表にふさわしい人材探しである。メンバー24人。先発出場できるのはDHを含めて10人。自チームでは常にグラウンドに立つ中心選手であっても、侍ジャパンではバックメンバーに回るケースも多々ある。
「どうしても控えになる選手が出てくる。短い期間ですけど、チームワークを求めていくには、出る選手だけではなく、控えでサポートできる選手の動きが大切です。周囲に配慮できる選手を選んでいきたいと思います」
今合宿ではメニューを動かすリーダー役をあえて置かず、すべてフラットな状態で進めたという。川口監督は、主将選出にも慎重だ。
「メンバーを引っ張っていくことはもちろんですが、私ともコミュニケーションを取れる選手。コーチとも話し合って、丁寧に見極めていきたいと思います」
個々の能力をいかに機能させるかは、指揮官の手腕にかかっている。社会人選手は自立しており、各選手は役割を十分に理解しているはず。侍ジャパンU-23代表は、今後の社会人球界をけん引していくカテゴリーであり、川口監督の「視点」が注目されるところだ。
文=岡本朋祐