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打撃フォームが岡田彰布監督と重なる? 阪神でフルスイング魅力の「若手成長株」は

 

プロ初安打、初打点をマーク


今年で2年目の野口。阪神打線を活性化させる存在となれるか


 阪神で頼もしい若武者が一軍生き残りを目指し、奮闘している。プロ2年目の野口恭佑だ。

 150キロを超える直球を力強くはじき返せる打撃が大きな魅力だ。「六番・右翼」でスタメン起用された7月10日のヤクルト戦(甲子園)で、野口の真骨頂が発揮された。1点差を追いかける4回二死二塁で奥川恭伸の148キロ直球を中前にはじき返す同点適時打。直前のスライダーをきっちり見極め、内角の直球に詰まりながらも振り切った打球が中前にはずんだ。この一打で試合の流れを変えると、6回一死一、三塁の好機で遊ゴロの併殺崩れで2打点目。勝利に大きく貢献した。

 創成館高で甲子園に2度出場し、九産大を経て、育成枠で入団。思い切りよい打撃を岡田彰布監督に認められ、新人の昨年秋に支配下昇格した。だが、プロの世界は甘くない。今年のオープン戦は4試合出場で7打数無安打とアピールできず、開幕を二軍で迎えた。パワフルな打撃で存在を示すしかない。ウエスタン・リーグで56試合出場し、打率.308、1本塁打、26打点。6月28日に一軍初昇格すると、7月7日のDeNA戦(甲子園)で5回に代打でプロ初安打となる右前打を放ち、6回は中犠飛で初打点をマークした。

7月7日のDeNA戦でプロ初安打をマークした


 お立ち台で「お母さんやったよ!」とスタンドで観戦した母親に向けて叫び、「実は七夕で『初ヒットが打てますように』と書いていたので、それが叶えられたのでチームも勝てましたし本当にいい1日になりました」と充実した表情を浮かべた。9日ヤクルト戦(甲子園)でも1点差を追いかける9回一死から代打で出場し、フルカウントで相手守護神・田口麗斗の内角直球を見極めて四球で出塁。2試合連続サヨナラ勝利の呼び水となった。

「フルスイングするが粗いわけではなく、コンタクト能力が高い。直球に強い点もそうですが、打撃フォームが現役時代の岡田彰布監督と重なります。外野のレギュラーは近本光司が確定で、前川右京が成長著しい。残りの1枠は森下翔太が打撃不振でファームに降格しているため、固まっていない。野口は結果を出し続ければ、スタメン定着の可能性が十分にあります」

若手の成長に期待をかけて


 リーグ連覇を狙う阪神は深刻な貧打で上昇気流に乗れない時期が続いた。佐藤輝明大山悠輔、森下と主軸で期待された選手たちが不振で次々にファーム降格。不動のリードオフマンだった近本光司を四番で抜擢した時期もあった。貧打で苦しむのは阪神だけではない。打線強化に動いた巨人エリエ・ヘルナンデスを5月上旬に獲得。打率.346、6本塁打、20打点の大活躍で起爆剤になっている。だが、阪神は巨人と対照的に補強に動いていない。

 岡田監督はこの点について週刊ベースボールのコラムで、以下のように語っている、

「よく聞かれることがある。『補強しないのか?』ということだ。7月31日までトレード、外国人獲得の期限が残されているし、手っ取り早い打開策として、補強が取りざたされる。そらはっきりしたことは言えないけど、オレは否定的なんよね。特に外国人に関してだけど、正直、ノイジーミエセスには大きな期待はできないやろな。だからといって、すぐに新外国人とはならない。そら球団と話はするが、この時期、適応する候補は簡単には見つからないし、ポジション的な問題も出てくる」

「それなら……と、オレは若くて新しい戦力を思い切って登用することを優先したいのだ。例えば、今回(6月28日)、野口恭佑を一軍に上げた。オレは二軍のゲームをリアルタイムでチェックしたり、ビデオで見返したりしている。その中で野口はホンマ、成長していたし、バッティングがいい形になっていた。起用法は考えるが、思い切って若手を使うことも、必ずチームにとってプラスになるはず。だから現段階では補強より、そちらを優先する。この考えにブレはない」

 若手の活躍はチームに勢いをもたらす。野口が指揮官の期待に応える活躍を見せれば、リーグ連覇がグッと近づく。

写真=BBM
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