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かつては坂本勇人2世…ファームで絶好調だった「巨人の若手成長株」は

 

ファームで打率.338


再び正遊撃手争いに参戦する中山


 巨人で熾烈な定位置争いを繰り広げられているポジションが、遊撃手だ。

 プロ2年目の門脇誠が最有力候補と見られていたが、5月以降に打撃不振でスタメンを外れる機会が増え、ドラフト4位のルーキー・泉口友汰が台頭。さらに、助っ人の ココ・モンテスが途中加入したことで競争が激化している。

 遊撃は坂本勇人が長年守り続けていた聖域だった。若手の台頭が期待されたが、「日本一の遊撃」の壁は高い。その中でかつて「坂本勇人2世」と形容されたのが、プロ4年目の中山礼都だ。

 今季イースタン・リーグで50試合出場し、打率.338、2本塁打、22打点の好成績を残している。7月31日のオイシックス戦(新潟)で今季初の4安打をマーク。2回に左中間二塁打、4回に中前安打を放つと、5、7回に適時打で9回は四球と5打席すべて出塁した。直近5試合で14打数9安打、打率.643と絶好調で8月3日に一軍昇格。同日のヤクルト戦(東京ドーム)で8回に代打で出場すると、投手強襲安打を放った。与えられたチャンスで結果を残すことで道を切り拓く。貴重な1本となった。

チャンスを生かせずに


 中京大中京高で高橋宏斗(中日)と共に中心選手として活躍。打撃でミート能力が高く、遊撃の守備力も高い。将来を嘱望された若武者は巨人にドラフト3位で入団する。頭角を現したのは高卒2年目の2022年。坂本が右膝内側側副靱帯損傷で離脱した5月にライバルの湯浅大廣岡大志(現オリックス)を押しのける形で27試合連続スタメン出場。6月中旬に坂本が復帰以降は出場機会を減らしたが、「坂本2世」として存在をアピールした。

 勝負の年となった昨年だが、遊撃の定位置をつかんだのは新人の門脇だった。シーズン終盤に坂本を三塁にコンバートさせて、勝ち取ったことは大きな意味がある。中山は自己最多の78試合に出場したが、スタメン出場は28試合にとどまった。今季は門脇の状態が上がらなかったことを考えると定位置奪取の大きなチャンスだったが生かせない。開幕二軍スタートで4月9日に一軍昇格したが、9試合出場で打率.091とふるわず、5月7日に登録抹消された。6月7日に再昇格したが代打で3試合出場して二ゴロ、見逃し三振、遊ゴロ併殺打とふるわず、1週間も経たずにファームへ逆戻りとなった。

坂本が語っていた「自己犠牲」の重要性


 一軍で「つなぎ役」となる中山には数字に反映されない部分も求められる。犠打をきっちり決めたり、無死二塁で走者を三塁に進めたりするなど凡打の内容も重要だ。坂本は21年に週刊ベースボールのインタビューで、「自己犠牲」の重要性を語っていた。

「プロなので、自分の成績を気にするのは当然のことです。とはいえ、自分のプレーだけにとどまってしまうのも、チームスポーツである野球ではどうなのか、と。個々人が自分の仕事をしっかりと果たして、結果を出してくれれば、チームのプラスになるのですが、それだけでは、やっていてつまらないと僕は思いますし、先輩たちから教わってきたジャイアンツの野球はそうではない。優勝を常に目指さないといけないチームでプレーしている以上は、自分が打ったとか、打たなかったとか、それだけではダメだと思います」

「うまく説明できないので『いや、自分の成績にこだわらないとダメだろ?』と思う人もいるでしょうし、受け取り方はそれぞれ違うかもしれないですけど。もちろん、これは試合に出ている人たちの話です。ただ、レギュラーを取りかけている選手や、何年も一軍でプレーしている選手は、周りのことも見ながらやれば、自分にも絶対にプラスに働くと思います。選手一人ひとりが考える力を身につけ、自覚を持ってチームのためにプレーする。そうあってほしいなと」

 長年レギュラーで活躍している選手は自分のすべき役割を察知し、状況判断に優れている。遊撃の定位置はまだ固定されていない。中山は存在価値を証明して門脇、泉口との競争に参戦できるか。

写真=BBM
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