初登板は2年秋の最終戦
東海大・小口は安定した投球を続けている[写真=大平明]
【9月21日】首都大学一部リーグ戦
城西大10-0東海大(8回
コールド)
(城西大2勝1敗)
首都大学リーグ第3週1日目。今シーズンは投手陣に故障者が多く見られるものの、3勝1敗と順調な滑り出しを見せた東海大。
第3週は勝ち点をかけた城西大3回戦に臨んだ。序盤からリードを許す苦しい展開のなか、二番手としてマウンドに上がったのが小口優太郎(4年・東海大浦安高)だ。
小口は3回裏の交代直後こそ味方のミスで追加点を奪われたものの、なおも二死三塁のピンチはサードへのファウルフライで切り抜けると、4回と5回は3者凡退に抑えた。
「リーグ戦が始まったころは緊張していたのですが、リーグ戦にも慣れて本来の自分のピッチングができるようになってきました」
6回裏は2つの四球で2死二、三塁のピンチを招いたが、ここは「自信がある」というストレートをアウトコースにズバッと決めて見逃し三振。このイニングでマウンドを降り、3回2/3を投げて無失点の好投だった。
東海大浦安高から東海大に進学した。しかし、層の厚い東海大ではなかなかリーグ戦出場の機会に恵まれず、初登板は2年秋の最終戦だった。
「当時の監督が経験を積むために最後の1人だけ投げさせてくれました。ただ、実感がないままに終わってしまった感じでした」
昨年は右肘を疲労骨折してしまい、リーグ戦の登板はなし。それでも、前を向いた。
「同級生も投手陣も仲が良く、そのなかで切磋琢磨してこられたので、つらいというよりは楽しくやってこられました。今年からは長谷川国利監督に代わったこともあって、もう一回、気持ちを入れ直して練習に取り組んできました」
新たな武器シンカー
転機が訪れたのは、今春のリーグ戦も後半戦に入ったころ。
酒井勉コーチから腕を下げて投げることを勧められた。
「これまで上から投げていたのをサイドスロー気味で投げるように変えたのですが、この投げ方が自分に合っていてすんなりと投げられるようになったんです」
フォームの面では「右足にためた重心をバッター方向へしっかりと移していくことを意識しています」とのことで、「あとは気迫を込めて投げることです」と話している。
腕を下げたことで新たな武器となったのが左打者の外に逃げるシンカーだ。
「もともと左打者を苦手にしていたのですが、サイドになってからシンカーが使えるようになりました。球速も上がってきてツーシームに近くなってきていますし、インコースへの強いストレートと組み合わせて投げることができるようになりました」
「オープン戦で調子が良かったのですが、その好調を保つことができています」と今シーズンは開幕戦の筑波大1回戦で約2年ぶりとなるリーグ戦登板。
「ガチガチになって、自分のミスで失点してしまいました」と振り返るが、3点リードの5回からマウンドに上がり、8回途中まで1失点に抑えてリーグ戦初勝利を挙げた。ただ、本人は「先発した諸隈惟大(4年・東海大相模高)からもらったようなもの。白星よりもチームの勝利に貢献できれば」と個人よりもチームの成績に目を向けている。
投手陣の駒が不足しているなか、今季はここまでの5試合中4試合に登板。通算13回1/3を投げて防御率は1.35の好成績を収めている。城西大3回戦は0対10の8回コールドで敗れ、チームは一歩、V争いから後退したが「リーグ戦で投げることができていて楽しいですし、『責任感を持ってやらなくちゃいけない』と思うようになりました。チームとして優勝を目標にしているので、これからも失点しないよういにしていきたい」と小口。
卒業後も野球を続けることは決まっているが、まずは学生最後のシーズンに4年生の責任としてリーグ制覇という結果を残したい。
文=大平明