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【大学野球】自らの手で取り戻した特別なエース番号 「11」に恥じない投球を誓う明大・藤江星河

 

最上級生に対する信頼の証し


明大の4年生左腕・藤江は背番号11の誇りを胸に、マウンドで腕を振っている[写真=矢野寿明]


【10月13日】東京六大学リーグ戦第5週
明大8-1立大(1勝1敗)

 明大はチーム内競争が激しい。背番号11をめぐる争いはさらに、熾烈である。春と秋、シーズン前のオープン戦を経て、結果を残した投手が手にできる特別なエース番号だ。

 左腕・藤江星河(4年・大阪桐蔭高)は今春、背番号11を託されたが、4試合の登板に終わった(0勝0敗、防御率2.70)。春が終わり、秋に向けてはリセット。背番号11は再び、横一線でのサバイバルとなった。このままでは、終われない。藤江は夏場のオープン戦も好投を続けた。すべては、結果で判断。背番号11を自らの手で取り戻したのである。

 開幕カードの東大1回戦では開幕投手を任され、6回無失点。打線の援護に恵まれなかったが、無四球と安定感ある投球が印象的だった。慶大1回戦で救援登板した後は、チーム事情もあり、なかなか出番が回ってこなかった。「本人は相当、フラストレーションがたまっていたはず」(明大・田中武宏監督)。立大2回戦で、今季2度目の先発を託した。明大は1回戦を落としており、負けられない一戦。最上級生に対する信頼の証しだった。

 田中監督は朝のミーティングで、部員たちの前でこう言った。指揮官の親心が出ていた。

「エースが投げるから、スタンドの部員を含めて守ってやってくれ!!」

 藤江は6回5安打無失点と期待に応えた。3年春の東大2回戦以来、通算5勝目。背番号11でつかんだ「初勝利」は格別であった。

「チームに迷惑をかけていたので、勝つことができて良かったです。テンポ良く、自分の長所を出していこうと思っていました」

 対戦成績は、1勝1敗のタイ。立大3回戦の後は勝ち点3で首位に走る第6週・早大との直接対決、そして第8週の法大戦と続く。

「伝統ある背番号11を着けさせていただいているので、恥じない投球をしないといけない。今後も背番号11らしいピッチングをして、チームの勝利に貢献するだけです」

明大は立大2回戦で雪辱して1勝1敗のタイ。試合後は勝利に貢献した4年生がポーズを作った。左から浅利、主将・宗山塁、藤江[写真=矢野寿明]


 7回は右腕・松本直(2年・鎌倉学園高)、8回からの2イニングは154キロ右腕・浅利太門(4年・興國高)が締めた。浅利はプロ志望届を提出しており、ドラフトに向け、多くの球団が注目している。この日は9回に1失点し「藤江、松本からのゼロをつなぐことができなかった」と反省を口にしたが、8回は三者連続三振と圧巻の投球。田中監督は「ブルペンから良い報告を受けていた。最後は浅利と決めていた。真っすぐと分かっていてもとらえられないのは、相手打者からしても打ちづらいものがあると思う」と、長身から繰り出されるストレートの質を称賛していた。

 やはり、最後の秋は4年生の力が必要不可欠である。ここに来て状態を上げてきたのは、好材料。3年生の好投手と切磋琢磨しながら、チーム力でリーグ戦を勝ち上がっていく。

文=岡本朋祐
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