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【大学野球】誰にも止められない…打率.455の明大・宗山塁だが納得できる数字は「5割」

 

目の前のプレーに集中


勝ち点を3に伸ばした立大3回戦の5回表に適時打。一塁上では珍しく、ガッツポーズを見せた[写真=井田新輔]


【10月14日】東京六大学リーグ戦第5週
明大15-1立大(明大2勝1敗)

 明大の主将・宗山塁(4年・広陵高)は試合中、喜怒哀楽を出さないことをポリシーとしている。相手にスキを見せないためだ。しかし、学生ラストシーズンは例外のようである。

 勝ち点をかけた立大3回戦。明大は3対0とリードした5回表一死二塁、宗山がタイムリーを放った。貴重な追加点に、三塁ベンチに向かってガッツポーズを見せた。常に冷静なキャプテンにしては、珍しいシーン。いかに、この一戦が大切であるかを意味していた。

 23年春以来のV奪還へ負けられない一戦を、13安打15得点で圧勝。明大は1回戦を落としてから連勝で、今季3つ目の勝ち点を挙げた。6勝1敗1分、勝ち点3。首位・早大と並び、第6週はV争いを左右する直接対決だ。

 宗山は立大との3試合で、15打数9安打3打点。4安打の固め打ちだった前日の2回戦に打率.444としてリーグトップに立ち、3回戦も3安打を放ち、打率.455(33打数15安打)と、さらにアベレージを伸ばした。ただ、毎シーズン、打率5割を目標としている宗山にとっては、納得の数字に届いていない。

 通算113安打は歴代13位タイ。宗山がヒット1本を積み上げるごとに、かつてのレジェンドの記録を塗り替える。メディアという数字を取り扱う立場からすれば、これ以上の充実感はない。野球で「たら、れば」は禁物の上で触れる。宗山は2月末のオープン戦で死球を受け、右肩甲骨骨折で全治3カ月の診断を受けた。開幕絶望と見られていたが、驚異の回復力で間に合わせた。ところが、3カード目を控えたオープン戦で、打球処理の際に右手中指第一関節を骨折。残る3カード8試合を欠場し、シーズン4安打に終わった。

 通算98安打で足踏み。仮にこの2つのアクシデントがなければ、歴代1位の明大・高山俊(24年はオイシックス新潟でプレー)の持つ131安打の更新も可能だったかもしれない。宗山のシーズン最多は、2年春の24安打。この秋も、バットに当たればヒットという、誰にも止めらない領域に達している。

 天王山・早大戦。宗山は1年春から今春までの7シーズン、同カード通算で打率.439、3本塁打、17打点と相性が良い。かつて、明大・田中武宏監督は、早大・小宮山悟監督とのやり取りの中で、こう明かしていた。

「試合前、小宮山監督とあいさつした際に『宗山の顔を見たくない(苦笑)。当たったらヒットですから』と……」

 今春、早大は勝ち点5の完全優勝。明大は早大に1勝2敗で勝ち点を落としたことが、V逸に直結した。紫紺はエンジに対し、相当な思いでぶつかっていく。不動の三番・宗山が機能すれば、チームは活気づく。背番号10を着ける主将は、目の前のプレーに集中する。
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