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覚醒の予感…衝撃の一発放った「巨人の若武者」は定位置奪取できるか

 

CSで見せた輝き


CSファイナルステージで“プロ初本塁打"を放った中山


 4年ぶりのリーグ奪回を果たしたが、CSファイナルステージで敗れた巨人DeNAに3連敗を喫した後に2連勝し、アドバンテージの1勝を含めて3勝3敗に持ち込んだが、7戦目で2対3と敗れて力尽きた。

 打線がなかなか得点を取れず、重苦しい展開の試合が多かったが、輝きを見せたのが中山礼都だ。第5戦で0対0の5回に先頭打者で打席に入ると、山崎康晃の内角の直球を力強く振り抜いた打球は右翼席へ。シーズンでは通算160試合に出場してノーアーチだったが、CSの大舞台で値千金のプロ初本塁打を放った。試合は1対0で逃げ切り、このアーチが決勝打に。お立ち台で「最高です!」と何度も叫んだ。

 CSでは第2戦から「二番・二塁」でスタメン起用されたが、2試合連続無安打。それでも、阿部慎之助監督は信じてくれた。第4戦で同点の7回一死一塁。犠打が考えられる場面だったが、指揮官のサインは「打て」だった。一、二塁間を破る安打で一死一、三塁と好機を広げると、岸田行倫のセーフティースクイズで三塁走者・坂本が勝ち越しの本塁生還。中山は安打が1本出て、精神的に楽になっただろう。5戦目で殊勲の一発を放つと、6戦目もマルチ安打。いずれも強引に引っ張らず逆方向に放った。

強力なライバル


 かつて、「坂本勇人の後継者」と目されたが、遊撃に強力なライバルが現れた。門脇誠だ。新人の昨年に堅実な守備と広角に打ち分ける打撃で、シーズン終盤に遊撃の定位置をつかんだ。だが、2年目の今季は打撃不振で試行錯誤する。スタメンから外れることが珍しくなく、129試合出場で打率.243、0本塁打、21打点、9盗塁。自身初の規定打席到達はならなかった。一方で中山は開幕をファームで迎え、一軍でチャンスを与えられた時に結果を残せず、ファームに逆戻りを繰り返した。イースタンでは67試合出場で打率.332、4本塁打、30打点、4盗塁と格の違いを見せていただけに歯がゆい。光が見えたのが、シーズン終盤だった。途中出場した9月29日のヤクルト戦(神宮)で猛打賞をマークすると、続く10月2日のDeNA戦(東京ドーム)でもマルチ安打。32試合出場で打率.318を記録し、短期決戦でも好調を持続した。

混とんとしている定位置争い


 門脇が一歩抜け出したかに見えた遊撃の定位置争いは混とんとしている。今秋のドラフト会議では1位に「高校生No.1遊撃手」の呼び声高い石塚裕惺(花咲徳栄高)、2位で俊足に定評がある即戦力遊撃手の浦田俊輔(九産大)を指名した。1、2位で共に遊撃手を指名するドラフト戦略に驚きの声が上がったが、球団は補強ポイントとして優先順位が高いと判断したのだろう。

 来季は門脇、中山、泉口友汰、ドラフト2位の浦田で遊撃のポジションを競うことになる。高卒の石塚も2、3年後に台頭してくればこの争いに加わることになる。

「中山が遊撃でポジションをつかむには、打撃でアピールすることに尽きます。CSのような打撃を見せればチャンスが増える。他球団で年齢が近い選手が活躍していますし、ブレークしてほしいですね」(スポーツ紙記者)

 中京大中京高で同級生だった高橋宏斗は今季12勝4敗、防御率1.38で最優秀防御率のタイトルを獲得。球界を代表するエースの階段を上っている。1学年上で遊撃を守る長岡秀樹(ヤクルト)は最多安打(163本)のタイトルを獲得。森敬斗(DeNA)もCSクライマックスシリーズで攻守に貢献度が光った。今年のドラフトで指名された大卒の選手たちは同学年になる。「大学No.1遊撃手」の宗山塁(明大)は5球団が1位指名で競合し、楽天が当たりクジを引いた。巨人でチームメートになる浦田も同じ学年だ。

 中山は遊撃だけでなく、二塁、三塁でチャンスを与えられる可能性がある。どのポジションでも打撃でアピールすれば、出場機会は自然と増えるだろう。来季は勝負の年だ。

写真=BBM
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