7、8月にハイアベレージ

シーズン途中に来日し、巨人の4年ぶりの優勝に貢献した
巨人のココ・モンテスが保留者名簿から外れ、自由契約となった。全球団との交渉が可能になったことから、他球団が獲得に向けて調査を行う可能性がある。
今年は7月に途中加入すると、46試合出場で打率.272、1本塁打、14打点をマーク。月間打率を見ると7月は.313、8月は.358とハイアベレージで、8月終了時点は打率.349だった。9月に打率.185と調子を落としたが、4年ぶりのV奪回に貢献した働きは数字以上に大きい。9月3日の
ヤクルト戦(京セラドーム)で3点差を追いかける9回二死二、三塁で起死回生の同点3ランを放った一打が特に印象深い。この試合は敗れたが、勝負強い打撃が目立った。守備面でも本職は内野手だが、不慣れな外野で奮闘した。
異国の地でのプレーを楽しんでいた。外野で好守を見せたときはナインに向けていたずらっぽい笑みを浮かべ、チームメートが活躍するとベンチで大喜びしていた。愛称の「ココ」には意外なエピソードが。週刊ベースボールの取材でこう語っている。
「アメリカ時代から選手名は『ココ・モンテス』で登録していますが、本名ではありません(本名はロバート・パトリック・モンテス)。生まれたときに頭髪がたくさん生えていて、どういうわけか母親がその頭髪を全部剃ってしまったんですよね。それを見たキューバ人の祖父が『ココリソ』と私を呼ぶようになりました。ココリソというのははげたクリクリ頭を指すスペイン語のスラングなんです。幼少時から周囲にそう呼ばれていて、そのまま今に至っています。日本のファンの方たちにも『ココ』という私のニックネームを覚えてもらって、応援席から大きな声で呼んでいただけるので、すごくうれしいです」
「ポイントゲッターとして計算できる」
巨人もモンテスの働きぶりを評価していたが、自由契約になった背景は長距離砲を必要とするチーム事情がある。今オフは
阪神・
大山悠輔のFA補強に動いていたが、残留したため獲得が叶わなかった。四番・
岡本和真と共に本塁打を打てる強打者は補強ポイントの優先順位が高い。同じくシーズン途中加入のエリエ・
ヘルナンデスもシュアな打撃が持ち味で、モンテスと打者としてのタイプが重なる。助っ人外国人で長距離砲の獲得を模索することになり、モンテスの去就に影響を及ぼしたと考えられる。
ただ、他球団の評価は高い。セ・リーグ球団のスコアラーは「コンタクト能力が高く、阪神で活躍した
マートンのように大化けの予感がします。守り慣れた内野でシーズンを通じて試合に出場すれば、打率3割をクリアできる力を持っていると思います。本塁打が1本のみでしたが、41安打中、3割以上を占める15本の二塁打を放っています。鋭い打球が外野の間を抜けるので、ポイントゲッターとした十分に計算できる」と分析する。
広角打法が持ち味だったマートン

2010年から6年間、阪神で好打を発揮したマートン
阪神で2010年から6年間プレーしたマット・マートンは来日1年目にセ・リーグシーズン最多安打の214安打を放つなど、最多安打のタイトルを3度獲得。14年には打率.338で首位打者に輝いた。13年の19本塁打が来日最多と長距離砲ではなかったが、ライナー性の打球を広角に打ち分け、阪神打線に不可欠な選手だった。NPB通算1020安打は球団の外国人最多記録。2度の三冠王に輝いたランディー・バースも「マートンはあらゆる方向に打球を飛ばせるのが強み。それにクレバーだね」打撃技術を絶賛していた。
助っ人外国人がNPBで活躍するケースは、かつてに比べて激減している。セ・リーグで言えば、規定打席に到達した外国人選手は自身初の首位打者に輝いた
DeNAの
タイラー・オースティン、ヤクルトの
ドミンゴ・サンタナ、
ホセ・オスナのみ。パ・リーグも
ロッテの
ネフタリ・ソト、
グレゴリー・ポランコ、
日本ハムの
アリエル・マルティネスの3人だった。後半に打棒が爆発した日本ハムのフランミル・レイエスを含めても活躍したケースは少ない。
モンテスの今季年俸は推定3000万円。今年見せた活躍を考えると、格安と言える。獲得に乗り出す球団が現れるか要注目だ。
写真=BBM