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【MLB】好調ヤンキース、強さの秘訣はまとまりの良さ

 

投打、そしてベテラン若手ともにまとまりのあるチームになった2024年のヤンキース。今のところMLBの中でも頭一つ抜け出した強さを見せている[写真はジャッジ]


 名門ヤンキースが絶好調だ。現地時間6月5日終了時点で44勝19敗はフィリーズと並んでMLBトップ、得失点差+115は単独1位だ。アーロン・ブーン監督はチームを率いて7年目だが、「才能あるチームは何度も見てきたが、今年のクラブハウスの雰囲気、互いを思いやる姿勢は特別」と語っている。

 今季はフアン・ソト、アレックス・バーデュゴ、マーカス・ストローマンと個性的な選手が加入したが、すぐにチームに溶け込んだ。

 ストローマンは「兄弟のような絆を築けた。とても自然で、プレッシャーを感じることなくまるで家にいるように感じる。自分らしくいられるから、最高のプレーができる」と話している。投打のバランスも取れている。投手陣の防御率は2.82、打撃陣のOPS.776はともに1位だ。とはいえ開幕前は評価が低かった。昨季は82勝80敗でプレーオフを逃していたし、キャンプ中にエースのゲリット・コールが右肘の炎症で離脱したからだ。

 にもかかわらず、チームはまとまっていった。まず投手陣は、2021年にメジャー・デビューしたものの22年5月に右肘を痛めトミー・ジョン手術で23年は全休だった右腕ルイス・ヒルが大化けした。4日のツインズ戦は6回1安打無失点の好投で、今季相手打線を3安打以下に抑えたのは12試合で10度目だ。

 平均96.5マイルの直球、チェンジアップ、スライダーすべて有効で8勝1敗、防御率1.82。今季は先発ローテーションに加わるとは思われていなかったがコールの離脱でチャンスをつかんだ。昨年6年総額1億6200万ドルの大型契約で移籍しながらさっぱりだった左腕カルロス・ロドンも復活し8勝2敗。元カージナルスの一巡目指名選手ながら、先発として活躍できなかったルーク・ウィーバーもリリーフ投手として再生を果たした。

 ブライアン・キャッシュマンGMの忍耐強いチーム作りが実った。昨年の打線はOPS.701の24位と弱点だったが、ケガをしていたジャッジが復活、ソトとのワンツーパンチでヤンキースらしい強力打線となった。ソトは「ニューヨークは素晴らしい街だし、大好き。今の状況にとても満足しているし、チームも本当に雰囲気が良い」と溶け込んでいる。

 ヤンキースのワンツーパンチと言えば、ベーブ・ルースとルー・ゲーリッグ、ロジャー・マリスとミッキー・マントルだが、現役の2人がともにシーズン40本を超えるペースで、実現すれば、1961年以来63年ぶりとなる。

 アンソニー・ボルピは一番・遊撃手で攻守にはつらつとしたプレー。走ってはヘルメットを飛ばしながらの全力疾走、守っても好プレー連発とチームをけん引している。

 アーロン・ブーン監督はキャンプからボルピが1年目から大きく成長する選手であると繰り返し述べていたが、見立ては正しかった。三振率は昨季の27.8%から20.6%と大幅に改善している。ア・リーグではオリオールズやガーディアンズも強いが、若手とベテランが互いに刺激し合い、まとまりもあるヤンキースが頭一つ抜けている感じがする。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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