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文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

聖地で躍動した全身バネのスピードキング”


 全身がバネのような躍動感がある。甲子園での4試合に脇本直人の良さが、すべて詰まっていた。初戦の第1打席、右前へポトリと落ちた打球で、迷わず二塁を狙った。

 次打者へのボールで捕手がわずかにファンブルした間に、すかさず三進。並の走者ならば自重する場面だったが、ボールに集中している脇本は、少しのスキも見逃さないのだ。打撃面も高校生離れした鋭いスイング。4試合で打率.500(16打数8安打)。

 特筆すべきは4試合で1本ずつの二塁打。高校通算57本塁打という実績から、期待されたサク越えは見られなかったが、ロッテ松本尚樹編成統括は絶賛した。

「ウチの角中タイプ。あのパワーは相当です。ノーステップ打法は力がないと無理。ポイントが近くで振れる。守備面を不安視する声もありますが、それは指名されるまでの話。入ってしまえば、選択肢はあるはず」

 もう一つの魅力は50メートル6.1秒の脚力。利府との2回戦では4盗塁。計6盗塁と、ダイヤモンドを疾走した。好きな野球選手はオリックス糸井嘉男。「打って走れるメジャー級の選手になる」。家庭の事情で幼少時から祖父母に育てられただけにプロ入りので「恩返ししたい」気持は強い。

■14年夏の甲子園成績
1回戦○ 5-3岩国
打数4 安打2 二塁打1 三塁打0 本塁打0 打点1 盗塁1 四死球0 打率.500
2回戦○ 10-0利府
打数4 安打3 二塁打1 三塁打0 本塁打0 打点0 盗塁4 四死球1 打率.625
3回戦○ 8-3山形中央
打数5 安打2 二塁打1 三塁打0 本塁打0 打点5 盗塁1 四死球0 打率.538
準々決勝○ 2-5大阪桐蔭
打数3 安打1 二塁打1 三塁打0 本塁打0 打点1 盗塁0 四死球0 打率.500

打数16 安打8 二塁打4 三塁打0 本塁打0 打点7 盗塁6 四死球1 打率.500
PROFILE
わきもと・なおと●1996年5月13日生まれ。群馬県出身。180㎝80㎏。右投左打。小学3年時に沼田北リトルで野球を始める。投手として沼田中で県8強、Kボール野球で沼田市選抜に入り、関東大会優勝。健大高崎では今夏初めて甲子園に出場。準々決勝で敗退(対大阪桐蔭)。

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