取材・文=岡本朋祐、写真=大泉謙也 
193センチ101キロと頭一つ抜けている金成。端正なマスクでハリウッドの人気俳優に似ていることからニックネームは『デカプリオ』。甲子園でも人気を集めそうだ
両翼95メートル中堅125メートルのフェンスをぐるっと制覇
センバツでの目標は3本塁打。この数字は、あこがれの存在が背景にある。
「松井さん(
松井秀喜、元
巨人ほか)が(1992年春に)3本塁打を打っていると聞いたので、追いつきたい。あとは得点圏打率。チャンスでは必ず打つ」
金成麗生の飛距離は、あのゴジラ以上とも言われ、伝統の強打・日大三高でも規格外だ。「中学生のころは『つまようじを持っているようだ』と言われたこともあります(苦笑)」と明かす。920グラム84センチの金属バットを191センチの金成が手にすれば、玩具に見えてしまうのも、決して大げさな話ではない。
冬場は1.2キロのバットを1日1000スイング。2月に入り通常のバットを使うと、左中間ネット場外へ推定140メートル弾を連発。逆方向への豪快なサク越えに、日大三高・小倉全由監督も舌を巻く。
「あのパワーは今までの三高にないもの。(全国制覇した01年夏の四番だった)原島(原島正光、明大-元日立製作所)も(両翼95メートル中堅125メートルのフェンスを)ぐるっと制覇しましたが、金成も引っ張りだけではなく、ジャストミートすればどこでも放り込める。昨年の今ごろはまともに走ることもできなかった男が、今は『俺が引っ張るんだ!』という姿勢が見える。不動の四番でいきます」
“未完の大器”に可能性を感じた柔軟性
アメリカ人の父と日本人の母を持ち、小学6年時に178センチあった。2年時に野球を始め5年間で約150本塁打。「体が大きいことも才能、と言われていましたが、努力をすればもっとよくなる」。練習を重ねようと思った矢先、中学時代は両ヒザの成長痛に悩まされる。相模ボーイズでは投手で全国大会に出場も初戦敗退と力を出し切れず、3年間、バットも湿りがち。そんな“未完の大器”に目をつけたのが小倉監督であった・・・
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