来季から指揮を執る佐々岡真司監督の強い意向で、1位入札が決定。背番号においても、自身が現役時代に背負っていた「18」を与えた。42年の超ベテランスカウトの極意は「ここぞと思った選手に惚れ込むこと」。広島の現場とフロントは一枚岩である。 取材・文=岡本朋祐 
最速155キロ。2019年ドラフトにおいて、最も一軍における先発ローテーションに近い投手と言われている/写真=田中慎一郎
神宮球場ネット裏の「25段48番」。ここが、今年でスカウト歴42年の超ベテランの広島・
苑田聡彦スカウト統括部長の“指定席”である。投球フォーム、球筋はもちろんのこと、内・外野手の動きも見渡せる最適のシート。
森下暢仁の明大での4年間の成長を、視察してきた場所だ。
「2、3年時に苦しんだ時期もありましたが、今年に関して言えば、好不調の波がなかった。唯一、力んでいたのが8月26日、高校日本代表との壮行試合でしょうか。相手の先発投手が大きな話題を集めていた
佐々木朗希(大船渡高)で相当、意識して、力が入ってしまったようです」
今春、森下は4勝を挙げて5季ぶりのリーグ優勝に貢献すると、全日本大学選手権では2勝を挙げ、38年ぶりの大学日本一の原動力(最高殊勲選手賞と最優秀投手)に。日米大学選手権でも2勝をマークし、3大会ぶり19度目の優勝を遂げMVPを受賞し、2019年の大学球界は「森下イヤー」となった。秋はリーグ戦連覇を逃し、2勝に終わったものの、防御率1.00と安定感抜群の内容だった。
「大崩れしない。試合中でも修正がきく。真っすぐが不調でも、スライダーや緩いカーブでカウントを整えられる。引き出しを、いくつも持っているんです。来年から先発グループに入って、10勝前後はできる。新人王? あまり、プレッシャーを背負わせたくないですが、明治の先輩である野村(
野村祐輔)に続いてほしい」
苑田スカウト統括部長は春のシーズン前の段階から、森下の飛躍を予想していた。確信を持ったのが・・・
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