無観客で開幕がスタートも、臨場感のある試合を中継で見ることができる。迫力ある試合をファンが見ることができるのも、野球中継があるからこそ。現在4チームの中継を手掛ける「J SPORTS」。さまざまな試みで、ファンがその場にいるような状況を作り、テレビ中継の緊迫感のある実況をしている。その舞台裏に迫った。 取材・文=椎屋博幸 写真=BBM 無観客でも画面の向こうにいるファンに向けてこれまでどおりの中継を行うJ SPORTSスタッフ[京セラドーム]
J SPORTSとは 4つのスポーツ専門チャンネルを運営しており、国内最大チャンネルのスポーツテレビ局。プロ野球では楽天、中日、オリックス、広島を中継。アマチュア野球は全日本大学野球選手権大会や都市対抗野球大会なども中継している。そのほか、サッカー、ラグビー、サイクルロードレースなどあらゆるスポーツの中継を行っている。 無観客で響くリアルな野球音
6月19日、無観客で開幕を迎えたプロ野球。ファンは現状、画面を通してしか試合を観戦できない。応援している球団の試合を球場では見られない状況が続いている。
「これまでも私たちは、中継で選手たちが一生懸命プレーしているところをお伝えしてきましたが、こういう状況でも臨場感のあるコンテンツをしっかりと伝えられているとは思います」とは、プロ野球中継の総指揮を行っている編成制作本部中継制作部担当部長の三木慎太郎さんだ。
「国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局」であるJ SPORTS。今季も広島、中日、楽天、オリックスの本拠地で、中継を行う。スポーツ専門チャンネルとして、常に臨場感のあるシーンを映し出してきた実績がある。そのスタンスは、無観客であろうが関係ない。常に現場の熱さをファンに届け続けている。
無観客だからと言って、マイクを特別にベンチ近くに多く置くようなことはない。これまでと同じようにマイクの位置を配置。しかし観客がいないことで、選手たちが戦う音を自然と拾い、その音が試合の緊迫感を作り出している。乾いた打球音、ミットにおさまる音、そしてベンチで盛り上がる選手たちの声など。今までなかなかじっくりと聞いたことがなかったリアルな音が必然的に奏でられているのだ。無観客になったことで、今までになかった感覚のプロ野球中継がお茶の間に届けられている。
一方、観客がいないことで、弊害も一つ起こった。それは実況の中にあった。J SPORTS担当の中継ではないが、試合中の実況の声が、グラウンドに筒抜けになっているというのだ。神宮球場では、中日の
与田剛監督が審判団に申し立てを行った。
これは各球場でも対策が必要となってくるが、4球場で中継を行うJ SPORTSでは唯一、ナゴヤドームの中継ブースに窓がなく、実況が漏れる可能性があった。それもナゴヤドームでの試合が行われるまでに対策が取られ、中継席にアクリル板を設置することにしたという。
「6月の練習試合では京セラドームでのオリックス戦で無観客の中継を経験していますが、やはり練習試合だったので結果など気にしていなかった部分もあると思います。でも、本番のシーズンで逆転されたら悔しいですし、その言葉を聞いてしまうと選手たちも……というのがあると思いますので、そこは熱気を伝えたい実況側としても難しいところではあります」と三木さんは対策を練っているところだという。
それと当時に、J SPORTSも独自の・・・
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