これ以上ない第一歩だった。開幕戦で迎えたプロ初打席で、初球を初安打して初打点をたたき出した。ドラフト3位の新人、
柴田竜拓がいきなり輝きを放った。
ラミレス監督に守備力を買われ、3月25日の
広島との開幕戦(マツダ広島)で「七番・二塁」で出場。2回一死二、三塁でジョンソンの145キロの速球を中前にはじき返した。今季のチーム初得点となる2点適時打に「受け身ではなく積極的にいこうと思った」と満足気に話した。ただし、翌日の試合は1対2の9回二死二塁で緩いゴロを捕り損ねて適時失策。その日も3安打したものの、柴田は「しっかり反省したい」と苦さも味わった。
開幕当初は先発出場を続けたが、昨季の正二塁手の石川が戦列に復帰するとベンチスタートが増えた。石川の復帰と同時に勝ちに恵まれないチームに「いけるぞ」という空気が流れた。柴田は「今は勝負にならない」と石川の存在感に驚きを隠さない。
「守備とか打撃以前に、戻ってから雰囲気が変わった。いるだけで空気を変えられる。ああいう選手になりたい」
頼もしく、容易には超えられない先輩と競う日々が始まった。
途中出場の難しさを克服するのも勉強の一つ。「疑似体験のようなイメージを大事にしている」という柴田はベンチから自分と同タイプの打者への配球を研究し、守備でもバウンドなどを細かくチェックして出場機会へ備える。まだルーキーイヤーは始まったばかり。日々成長を続けていく。