
ポストシーズンでは勝ち切れない歯がゆさが残った。この経験を来季につなげていく
悔しさの残るシーズンだったろう。秋季練習初日の11月12日、
石田健大は横須賀の二軍施設でキャッチボールなどを行い汗を流し、来季へ始動した。「オフはなるべくボールを触って調整しようと思う。そこまで疲れはたまってないはずだから」。その言葉には少々の自虐と反省がにじんだ。
ラミレス監督から開幕投手に指名され、エースと呼ばれた。だが、3月31日の
ヤクルトとの開幕戦(神宮)では6回3失点で黒星。そして4月下旬に左ヒジに違和感を訴えると、6月中旬まで戦線離脱。復帰後は輝きを取り戻したが、レギュラーシーズンは18試合で6勝6敗、防御率3.40。投球回は106回にとどまった。
ポストシーズンも苦戦が続いた。
広島とのCSファイナルステージでは第1戦を任され、4回まで無安打だったが、5回に3失点。その裏終了後に降雨
コールドで黒星を喫した。第5戦は1回に2失点し、2回に交代を告げられた。
日本シリーズでは本拠地・横浜スタジアムでの第4戦に先発し、5回途中4失点。石田は「自分の持っている力をすべて出したが、相手が上手だった。反省は1人のときにする。暗い顔は見せられない。少しでも雰囲気が良くなれば」と話し、その後も練習やロッカーではつとめて明るく振る舞い、チームとともに戦った。
悔しさをエネルギーとした反骨心が今季の収穫。「シーズンの143試合で結果を出さないとCSでも日本シリーズでも投げられない」。来季はこの経験を糧に必ず飛躍する。
写真=小山真司