
カモメの斬り込み隊長・荻野貴は初の球宴出場を視野に入れる
元気の源のような男だ。5月18日の
ソフトバンク戦(ZOZOマリン)から井口
ロッテは今季初となる4連勝を飾り、浮上のきっかけをつかんだ。その躍進は「一番・
荻野貴司」の存在を抜きには語れない。
「(初回は)勢いがつくし、塁に出たいという気持ちは強い。そのことだけを、考えています」
4連勝中に荻野貴は初回先頭打者として、すべてヒットで出塁し、そのうち3度、本塁までかえってきた。序盤の得点は先発投手の層に不安のあるチームには、のどから手が出るほど欲しいもの。荻野貴自身も4試合すべてでマルチ安打以上を記録するなど、初回の安打には思わぬ相乗効果がある。
5月8日の
楽天戦(楽天生命パーク)では打率が.248まで落ちた。だが、不振のままでは終わらせない。金森打撃コーチに頼み、休日返上練習もこなした。これまでは故障や不調などで1年間、まともにシーズンで活躍したことはなかった。「何かを変えないといけない」。その強い思いは交流戦前の45試合を終えて打率.281、12盗塁とリードオフマンとしての十分な数字に表れた。
プロ1年目の2010年は46試合を終えて打率.326、25盗塁。ルーキーとしてのオールスター選出も確実視されていたが、5月21日の
ヤクルト戦で右ヒザを負傷し、夢は叶わなかった。今季は「初球宴」も夢ではない。プロ9年目を迎えた幕張のスピードスターが、球界を代表する韋駄天へと階段を上るときは来た。
写真=BBM