一死満塁で打者はセンターへ飛球を打ちました。各走者はセンターが捕球後、一斉に次塁を目指してスタートを切りましたが、センターが三塁へ好返球を見せたため、三塁走者が本塁を踏むのと、二塁走者が三塁でタッチアウトになると、全く同じタイミングになりました。この後、球審は三塁走者の生還を認めないジャッジを下しましたが、これはなぜでしょうか。 第3アウトと本塁を踏んだのが“同時”なら得点か、または認められないかが争点ですが、得点について触れている野球規則5.08(a)にはまず
「3人アウトになってそのイニングが終了する前に、走者が正規に一塁、二塁、三塁、本塁に進み、かつこれに触れた場合には、その都度、1点が記録される」 とあります。ここには
「そのイニングが終了する前に」とありますから終了すると同時、またはそれ以後では得点にならないと解釈することができます。質問のケースは第3アウト成立(つまりイニングの終了)と同時に三塁走者がホームを踏んでいるので、得点は認められないのです。
しかし、第3アウト成立後に得点が認められる例外もあります。5.08(a)【原注】【注2】がそれで、ここには
「2アウト満塁で、打者が四球を得たとき、他のいずれかの走者がいったん次塁を踏んだ後にアウトになったときだけ、その第3アウトが成立した後に三塁走者が本塁を踏んでも、得点と認められる」 とあります。
今回とは別件ですが、“同時”の解釈として異なる扱いとなるのが一塁でのプレーです。5.09(a)(10)には
「打者が第3ストライクの宣告を受けた後、またはフェアボールを打った後、一塁に触れる前に、その身体または一塁に触球された場合」 アウトとなり、一塁に触れると“同時”またはその後ならセーフという解釈が成り立ちます。