高校通算31本塁打。県外の大学、社会人の強豪チームからも声がかかったが、地元へ残る選択肢に迷いはなかった。愛着ある場所で野球人としてのすべてを磨き、ドラフト指名。横浜でプロとして花を咲かせ、故郷へ恩返しする戦いが始まる。 取材・文・写真=高橋昌江 
ロッテ・細川の地元の公立校から青森大を経てプロ入りしたキャリアにあこがれ、同校へ進学した
「青森の良さですか? 自然、ですね。あとは夏の『ねぶた』。やっぱり『ねぶた』が一番、いいですね」
毎年、8月上旬に行われる「青森ねぶた祭」は日本屈指の夏祭りだ。観光客は300万人を超える。
DeNA6位指名の青森大・
蝦名達夫は青森生まれの青森育ち。幼いころから、この祭りに親しんできた。高校生になると、野球部で祭りの手伝いのアルバイトとして参加。青森大でも、それは変わらず。総額約2000万円、重さは4トンもある巨大な立体灯篭のねぶたが乗った台車を引く、ねぶたの引き手を今年もやった。
「あの迫力ですから、小さいときは怖かったですね。でも、一番いいねぶたに大賞が贈られるんですけど、『これは大賞を取れるな』とか、そういう予想をし始めた中学生くらいから、楽しいな、と思うようになりました。ねぶたが終わったら、青森の1年が終わる。それくらいのお祭りです」
青森の短い夏の一大イベントが終了すると、すぐに秋がやってきて、長く閉ざされた冬に入る。だが、今年の青森大はこのねぶたの後が熱かった。
近年、毎年のようにドラフト上位選手を輩出する激戦の北東北大学リーグ。この秋、青森大は2011年秋以来、16季ぶりの優勝を果たした。主将・蝦名を中心にスローガン「新時代~王者復活への道~」を掲げて復活に挑んだ1年の集大成を見せた。そして・・・
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