香川の県立高校に、まさに「原石」と言うべき左腕がいる。今夏の県大会準決勝で自己最速147キロをマーク。一躍、スカウトの「2014年ドラフト候補選手」にリストアップされたわけであるが、野球だけではない多くの魅力が詰まった球児だ。 中高一貫で磨かれたインテリ投手の成功体験
並の16歳ではない。甲子園を目標に3年間、白球にすべてをかける高校球児が大多数を占める中、
塹江敦哉は異色のキャリアを重ねている。国公立大学の合格を目指すグローバルコースに在籍。12月7日から3週間、ニュージーランドへの海外研修を控えている。現地ではホームステイをし、得意とする英語を磨いてくるつもりだ。今年1月には「高校中級程度」と言われる英検準2級に合格。一般よりも1年先の語学力を身につけており、来年1月には「高校卒業程度」の2級にチャレンジする予定だ。学業成績も優秀で5段階評価は評定平均4.2で、1学年240人で30番以内をキープ。小手先の文武両道ではなく、野球部でエース、学校生活においても模範生なのだ。
自宅から自転車で20分。兄・佑太さん、姉・咲紀さんがOB・OGであったという背景もあるが、文武両道を実践するために高松北高へ進んだ。同校は1983年創立で昨年、30周年を迎えたばかりの歴史的に新しい学校だ。01年からは中学校を併設。6年に及ぶ中高一貫教育を売りにしている。高松北中へ入学すれば当然、3年後の受験は回避できる。塹江は高校入試に縛られることなく、6年スパンで勉学に専念できるのと同時に、野球においてもメリットが大きいと考えていた。
「3年夏の大会後、硬式野球での練習が一足早くできると思いました」 高校と一貫でない中学に通っていれば約半年、机に向かわないといけないため、体がなまってしまう。しかも、高校入学後に軟式ボールから硬式ボールに持ち替えても、順応するには時間を要する。体力強化を含めれば、1年秋の新チームまでシーズンを棒に振ってしまう可能性がある。この空白の半年間を有効活用したのが、塹江の成功体験となった。
1年で身長が8センチ伸び球速は18キロアップ
高松北中では、現チームの控え投手である右腕・横井翔太に次ぐ2番手投手。目立つ存在ではなかった・・・
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