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野球浪漫2014

伊藤隼太[阪神・外野手]

 

 今年もドラフトで12人の1位選手が誕生した。今から3年前、即戦力選手と言われ1位で阪神に入団した伊藤隼太。開幕一軍に入ったが、プロの洗礼を受け、一軍に定着できない日々は続いた。不安の中で模索しながら新しい道を探し、結果が出始め、示した道が正しいと確信した。今は野球人としての喜びを感じている。
文=中田康博(デイリースポーツ)
写真=前島進、毛受亮介




 過ぎ去った時の遅速は意味を持たない。回り道も存在しない。大事なことは自分に課した目標へ、1歩ずつ進めているのか。それが自らの最短距離だからだ。7月6日のDeNA戦(横浜)。3年目を迎えた伊藤隼太は、着実な1歩を示した。今季は開幕から二軍で過ごし、初昇格は7月1日。だが、2014年初スタメンとなったこの試合で、右翼席への1号2ランをたたき込む。この試合だけを見れば、3点リードの7回に出たダメ押しの2ラン。だが、伊藤隼にとっての意味合いは違う。「最初に結果が出たので、これまでやってきたことは間違っていなかったのだと思えました。自信を持てた部分もあった」。この試合からの約2カ月間、23試合にスタメン出場して打率.333。背番号「51」が輝きを放ち始めた。そのきっかけとなる尊い1歩だった。

 3年前――。2011年10月27日。そのプロ人生は、無数のフラッシュに彩られた華やかな舞台で、スタートを切る。この日、阪神からドラフト1位での指名を受けた。中京大中京高から慶応大に進学。六大学のスター選手として活躍し、3年時には大学日本代表でも四番を務めた。4年時には主将として、同大のリーグ優勝に貢献。十分な実績を持って、伝統のタテジマに袖を通した。

「正直、自信はなかったですよ。ドラフト指名も確実と言われていましたが、不安はありましたから。進路先が決まってホッとしたというのが一番で、1位という評価も自分でいいのか? というのはあった。本当に不安の方が大きかったですね」

 それでもプロの道へ歩ませた理由は・・・

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