昨年7月下旬に中日から西武へトレード移籍し、中継ぎ左腕として優勝に貢献した小川龍也。厳しい場面でマウンドに上がるが決して力まない。プロになったのが「奇跡」だという男のメンタル術は興味深いものだ。 文=中島大輔 写真=小山真司、BBM 入団会見で懐かしの顔に再会
2018年7月18日、日本列島は記録的な酷暑に包まれていた。
名古屋も例に漏れず、この日の最高気温は39.2度。中日ドラゴンズの一軍が冷房の効いたナゴヤドームのナイターで
広島戦を迎える数時間前、小川龍也は厳しい日差しの照りつけるナゴヤ球場でウエスタン・リーグの広島戦のマウンドに上がった。
3番手として登板し、7回の1イニングを三者凡退。試合後、クラブハウスに引き上げようとすると、マネジャーに声をかけられた。
「帰る前、事務所に寄って」
「今でもいいですよ」と即答して行くと、突然告げられた。名古屋から東に350キロほどにある、埼玉西武ライオンズへの金銭トレードが球団間で合意したという。
「『え?』って。しかもその日、試合に投げて調子が良かったので、なおさらあると思わなかったですよね」 プロ野球は非情な世界だ。選手保有に関する球団間の決定に対し、当人たちは拒否することができない。「寝耳に水」の通告を受け、小川は放心状態で自宅に帰った。
「整理できなかったです。ホント、嫌だったですよね。中日に9年間いたので、情も入っているので」 突然のトレードをそう振り返った小川だが、一転爽やかな笑みを浮かべると、こう続けた・・・
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