読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者は現役時代にゴールデン・グラブ賞を3回獲得した、元ソフトバンクの柴原洋氏だ。 Q.息子の入団と同時に学童野球のコーチとなった親です。左中間、右中間など外野の中間を抜けていく打球に対し、外野手2人で追いかけてもいいものでしょうか。センターに優先権があるという考えは、この場合にも適応されますか。また、打球に追いつかなかったほうの選手に役割はありますか。(長崎県・38歳)
A.中間の打球は2人で全力で追い、早く追いついたほうが処理する。

イラスト=横山英史
まず、センター優先権の基本的な考え方から確認しておきましょう。左中間や右中間のように、外野手の中間に打球が上がった場合、基本的にはどこのチームでもセンターに優先権があると決まっているものです。
例えば、左中間の飛球で先にレフトが「捕る」という意思表示の声を出したとしても、後からセンターが「捕る」と声をかぶせたらセンターに任せます。追いかけていたレフトはセンターの邪魔にならないように、落球や後逸に備えてカバーに回ることになります。
ただし、質問の方のチームは学童野球(小学生)ですから、そこまで優先権にこだわる必要はないかもしれません。質問のケースは「抜けて行った打球」ですが、フライでも、ゴロでも、まずは2人で全力で追うのが基本です。どちらがその打球処理の場所に行けるかで、その追い掛けた選手同士でコミュニケーションをとるのがいいでしょう。
そもそも、センターに優先権があるのはどちらも同じタイミングで追いつけるものに関してであって、仮に左中間の打球にレフトのほうが先に追いつくのであれば、レフトが処理するのが当然です。
その場合、レフトの選手が「OK」「俺が捕る」などと声をかけ、センターの選手がすぐにランナーの状況を確認し、どこに走っているか、どこに投げるべきか伝えてあげます。サードに投げるのか、ホームに投げるのか、レフトの選手は打球を全力で追い、捕球をしに行っているので、確認できませんからね。拾い上げて、すぐにそちらのほうに体の向きを変えて、スローイングに移る。それだけでもスムーズな中継プレーにつながります。これが基本的な役割分担だと思います。
ここまでは外野手の間の打球について説明しました。これが例えばライト線、レフト線であった場合、それぞれの打球はライト、レフトが処理することになりますが、この場合にもセンターには重要な役割があります。定位置でただ突っ立っているのではなく、ライト、レフトの近くまでカバーに走り、走者の状況など声をかけてあげましょう。
●柴原洋(しばはら・ひろし) 1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。