2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えているが、今回から1日に1冊ずつバックナンバーを紹介していこう。いつまで連載が続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 時代を感じる『プロ野球で成功するには~プロ野球選手の摂生』という特集
今回は『1958年5月7日号』。創刊第4号で、定価30円でカラーページはない。ちなみに表紙が絵のように見えるのは、モノクロ写真に着色しているからだ。当時はもちろんコンピュータ彩色の技術などなく、職人の手によって行われていた。
前号は増大号とあって巻頭にグラビアがあったが、今回はいきなり本文からスタート。特集は『勝った
巨人・負けた阪神~巨人・阪神戦の舞台裏』だ。
4月13日から甲子園で行われた同カードに密着したもので(本当は阪神─巨人か)、当時の発表人数だが、日曜の試合には6万5000人の観衆が入ったという。センターグラビアにその日の球場の写真があるが、確かにすさまじい入りだ。まさに立錐の余地なし。文中には「野球ブーム」「プロ野球黄金時代」などの描写もあり、当時のプロ野球人気の高まりが、時代を超えて伝わってくる。
恒例の『10分間インタビュー』は、ホームラン王候補の西鉄・
中西太、大洋・
青田昇が登場。以下、パで好調の西鉄特集で『西鉄ベンチはたのし』、国鉄・
金田正一の『稼ぎまくる左腕~金田投手好調の秘密』と続く。
時代を感じるのは『プロ野球で成功するには~プロ野球選手の摂生』という特集だ。
例えばジャジャ馬と言われた青田昇について「大洋の三番打者・青田もよく酒を飲む。飲んだ挙句の果てに、柔道三段の実力を、多勢の前でしかも無料で公開してくれたものだ」と、いわゆる“ストリートファイト”の武勇伝をほのめかし、その「被害者」の1人に伝説の大投手
スタルヒンの名前を挙げている。言うまでもなく、青田の大先輩だが、酔った青田には関係なかったらしい。一撃で倒したとある。
さらに、その後の言葉がすごい。「だがここでは青田をどうの、こうのという筋合いはない。プロ選手ではなく、普通人だって、殴り合いは珍しくないのだから」。「ホンマでっか」と突っ込みたくなるが、ホンマなのかな……。
ほかにも「投手とセックス」という問題について、中日のある大投手に質問した個所もある(名前もあったが、自粛します)。
「私は翌日、自分が登板する日だと分かっていたら、気持ちを抑えます。職業人として、これぐらいの気持ちを抑えます。職業人として、これぐらいの克己心は当然じゃないでしょうか」
なかなか自由な時代であった。
<次回に続く>
写真=BBM