80年を超えるプロ野球の歴史は、それぞれの球団、それぞれの監督や選手たちが紡いできたものだ。1人1チームを原則に、名将、名選手たちが時空を超えて集結。オールタイムの“優勝チーム”を探してみよう。 樽募金の資金難から黄金時代へ
原爆で荒廃した広島の地から、2リーグ分立の1950年に唯一の市民球団として参加した広島カープ。低迷が続き、資金難にも苦しめられたが、市民の樽募金などで存続する。
現在の広島東洋カープとなったのが68年。創設26年目の75年に初優勝、79年からは2年連続で日本一となって、黄金時代に突入した。91年を最後に優勝から遠ざかっていたが、2016年に25年ぶりの栄冠に輝くと、そのまま2度目のリーグ連覇。現在もっとも勢いのあるチームと言える。
ここでは昭和の黄金時代を築いたメンバーが中心のオーダーとなったが、現役選手も当時のメンバーと対戦させたいほどの顔ぶれだ。
【ベストオーダー】
監督・
古葉竹識 一(遊)
高橋慶彦 二(右)
前田智徳 三(中)
丸佳浩 四(左)山本浩二
五(三)衣笠祥雄
六(一)
新井貴浩 七(二)
正田耕三 八(捕)
達川光男 九(投)
北別府学 広島ひと筋の選手が多いのも特徴的だ。一番・遊撃にも広島ひと筋で通算2000安打に到達し、監督も務めた
野村謙二郎がいるが、ここでは昭和の黄金時代を引っ張った高橋慶彦を据えた。当時の機動力野球を象徴するスイッチヒッターでもあり、二番の候補にも二塁や外野をこなしたスイッチヒッターの
山崎隆造や、スイッチヒッターとして初めて2年連続で首位打者に輝いた二塁手の正田耕三がいる。
現役屈指の名手でもある二塁手の
菊池涼介でもおもしろいが、ここでは歴代の強打者たちが天才と称える前田智徳を据えた。二番が多かった91年は前田が経験した唯一の優勝でもある。
三番には現役から唯一、17年MVPの丸佳浩が割って入った。四番からは“ミスター赤ヘル”山本浩二(浩司)、“鉄人”衣笠祥雄の最強コンビだ。山本、前田、丸は外野では中堅が多いが、ここでは山本が現役終盤の左翼、前田が02年に多かった右翼へと回り、現役の中心選手でもある丸がチーム屈指のレジェンドに挟まれる豪華な布陣に。三塁と一塁を兼ねていた衣笠は三塁を守り、一塁には現役から新井貴浩が続く六番打者として入った。
一塁手には79年からの連覇に貢献した
水谷実雄を皮切りに、左打者で
長内孝や
小早川毅彦、右打者では衣笠と同様に捕手出身で三塁も守った
江藤智や低迷期に四番を担った
栗原健太ら強打者が多い。衣笠を若手時代の捕手に置いて攻守の要として、前田と同様に唯一の優勝経験となった91年に多かった七番に三塁手として江藤を据えてもいい。
その七番は支配下選手として初めて背番号0を着けた
長嶋清幸や、現在の監督でもある
緒方孝市でもいいが、中堅手は飽和状態のため、やはりVイヤーの86年に七番が多かった正田が二番から回り、80年代から90年代にかけての投手王国をリードした司令塔で、やはり監督にもなった達川光男が八番に続く。司令塔は初優勝と初の連覇に導いた
水沼四郎との二枚看板。達川に続く正捕手となった
西山秀二や、現役の
石原慶幸、
會澤翼も司令塔の座をうかがう存在だろう。
守備も盤石だ。二塁には山崎、菊池に、初優勝に貢献した
大下剛史、86年の優勝監督でもある
阿南潤一(準郎)やユーティリティーの
木村拓也、遊撃には野村や現役の
田中広輔もいるが、やはり監督にもなった
三村敏之もいた。さらに、広島の創設に参加した
白石勝巳もプロ野球の草創期を彩った“逆シングル”の名遊撃手。外野手では現役の
鈴木誠也もいるが、“赤ゴジラ”
嶋重宣、初優勝を見届けて引退した
山本一義も忘れがたい。
投手王国の面目躍如”
広島・北別府学
エースは通算勝利でチーム最多の213勝を残した右腕の北別府学としたが、通算セーブと合わせると左腕の
大野豊が上回る。実働年数も長く、甲乙つけがたい存在。黄金時代を支えた左右両輪が、ここでも投手陣を引っ張る。
大野と同様に先発、救援で100勝100セーブを超えたのが右腕の
佐々岡真司。大野と同時期の左腕で奪三振の山を築いたのが
川口和久だ。投手で唯一の永久欠番は16年MVPの
黒田博樹。優勝経験はないが、メジャーで活躍中の
前田健太もいる。現役の
野村祐輔や
薮田和樹もタイトルホルダーだ。
クローザーでは79年からの2年連続日本一の立役者となった
江夏豊もいるが、江夏は南海や
日本ハムなど引く手あまた。大野や佐々岡をクローザーに配置してもいいが、“炎のストッパー”
津田恒実(恒美)の存在感は圧倒的だ。闘志を前面に押し出した速球勝負もさることながら、脳腫瘍のため離脱した91年にチームは「津田のために」と結束、不在ながら優勝への起爆剤となるなど、まさに“守護神”。ここでもクローザーとして、勝利のマウンドを締めくくる。
これだけでも投手王国と言えるが、時間をさかのぼると個性も豊かになっていく。完全試合を含むノーヒットノーラン3度の
外木場義郎、独特のフォームから真っ向勝負を挑んだ
池谷公二郎、日本シリーズに強かった
山根和夫に、サブマリンの
金城基泰と、多彩な顔ぶれ。そんな投手王国を束ねるのは創設メンバーでもある“小さな大投手”
長谷川良平だ。低迷期に通算197勝を残した右腕が、強力打線をバックに投げたら、北別府や大野を超える結果を残す可能性も高い。
そして、このチームを率いるのは古葉竹識監督。初優勝から黄金時代へと導いた名将で、オーダーから漏れた歴代の監督たちが参謀として支えれば、最強の首脳陣にもなりそうだ。
戦力のバランスに層の厚さも最強クラス。樽募金から這い上がった市民球団が、豊富な資金力を擁する戦力充実の優勝候補に挑む。
写真=BBM