
2年連続で20本塁打をマークした柳田
惚れ惚れするような力強いフルスイング――。イ
コール、
ソフトバンクの
柳田悠岐と言っても過言ではない。今季も柳田は“自分のバッティング”で本塁打を量産している。7月8日の
オリックス戦では、京セラドーム5階席上段に突き刺す特大弾で、自身初となる2年連続20本。「完璧でした」。フォロースルーの反動からバットを突き上げ打球の行方を見送った。
13、14日に行われた「マイナビオールスターゲーム2018」では試合中の一発こそ出なかったものの、試合に先立って行われたホームランダービーでリブワーク藤崎台の観客を沸かせた。フルスイングで2本の場外弾を含む10本を記録。残念ながら
ヤクルト・
バレンティンに敗れたが、打球の平均速度164キロで、ホームランダービー7試合を通して打球の平均速度が一番速かった選手に贈られる「日産ノート e-POWER賞」を受賞した。
そのホームランダービーでは外野席に招待された野球少年たちが懸命にホームランボールを追う姿があった。柳田を含めプロ野球選手のたくさんのアーチを目にして、少年たちは夢の舞台へのあこがれを強くしたに違いない。
柳田自身、球場で見たプロ野球選手の一発でホームランに魅せられた野球少年の一人だった。
「たまたま見に行った試合で
野村謙二郎さん(元
広島)が先頭打者ホームランを打ったんです。今でもすごく記憶に残っている。小学生のころってサク越えを打つなんて考えられないじゃないですか。プロ野球選手のパワーを目の当たりにして、かっこいいな、こういう選手になりたいなと思いましたね」
そして今、夢見た世界で豪快な一発を放ち続けている。ホームランについて、柳田は独特の言い回しで表現した。
「(ホームランって)“楽しい”ですよね。インパクトの瞬間とそのときの感触。そして、打って(ボールが)飛んでいくときが一番楽しいです」
そう教えてくれた柳田の目は輝いていた。少年時代から変わらない、ファンと同じようなホームランによるワクワクを自身も感じているのだ。これからも柳田は、ファンと一緒にたくさんの“楽しい”を共有していくのだろう。
文=菅原梨恵 写真=石井愛子