
開幕から中継ぎでフル回転する砂田。ベンチからの信頼も厚く、昨季に続いて今季も60試合以上の登板となりそうだ
「投げた7球のうち、失投は1球もなかったです」
DeNAの
砂田毅樹が語る言葉を聞いて、あらためてリリーフ投手が置かれるシビアな状況、厳しさを思い知らされた。
8月18日の
広島戦(横浜)は1点を争う緊迫した試合展開。1対2と広島にリードを許した8回表、DeNAにとってはこれ以上点を与えたくない場面で登板したのが砂田だった。
先頭の
丸佳浩に初球のアウトローへのスライダーを右前に運ばれると、続く
鈴木誠也から三振を奪い、迎えたのは五番・
松山竜平。その初球、捕手・
嶺井博希の要求したとおりにインコースの厳しいコースへ真っすぐを投げ切った。しかし、松山には一、二塁間を破られ一死一、三塁とピンチが広がった。ここで砂田は降板、代わった
三嶋一輝が2点タイムリーを浴びてしまった。
確かに映像で試合を振り返ってみても、砂田が投げたボールはすべて厳しいコースを突いている。しかし、「ああいう結果になってしまった……」と中継ぎ左腕は唇をかむ。
リリーフはほぼ毎試合のようにマウンドに上がる。緊迫した場面で起用されることが多い投手は、『狙った高さ・コースに投げ切ったボールが打たれるのであれば仕方がない』という“割り切り”が必要だろうし、逆にそうでなければフルシーズンを中継ぎで投げられないだろう。
しかし、砂田の考え方は違った。
「試合の流れを考えれば、投げるべきボールではなかったのかもしれない」と振り返る。
「投げたボール自体は悪くなかった。ただ僕と同じサウスポーで、その試合に先発した濱口(
濱口遥大)さん、前日に先発した東(
東克樹)が、丸さんや松山さんにどんな配球で、投球を組み立てていたのか。そこまで頭に入れなければならなかった」
とくに松山への配球については、浜口が何度とインハイを突いており、打者の頭にイメージとして残っていた可能性が高いと砂田は反省する。
「だから僕が投げた初球も、うまく松山さんに引っ張られてしまった。1点ビハインドの重要な場面です。データで確認して慎重にいくべきでした。試合の終盤になればなるほど、そうしたことが重要になると思い知らされました」
今季は貴重な中継ぎ左腕として、あらゆる場面でマウンドに立ち、チーム最多の53試合に登板。当然、春先と比べるとボールの質も変化するし、失投もある。その中で最良のボールを選択肢して、そこに投げ切る。たとえ無失点で抑えることができたとしても“結果オーライ”とせず、研究を怠らない。
「いましかできないこと。それに向って全力でやる。1試合1試合、1球1球に思いを込めて投げています」
残り試合は31試合。現時点で最下位に沈むDeNAだが、砂田はチームが浮上するきっかけをつかむために、そして少しでも勝利に貢献するために、準備を怠ることなくマウンドに上がる。
文=滝川和臣 写真=佐藤博之